教育研究グループ支援(研究成果報告)
研究の概要
確かな学力を身に付け、ねばり強く学ぶ子どもの育成
~解決できた喜び、学び合う楽しさを引き出す指導の工夫(算数科)~
研究構想図
数学的な思考力・表現力を育てるための具体的な手だて
能動的な学習態度を育てる学習過程の工夫 (手だて1)
数学的な思考力・表現力を育てるためには、自分の考えをより分かりやすく相手に伝えたり、他の考えに触れたりしながら、かかわり合い学び合う指導を充実させることが大切である。そのためには、児童自らが目的意識をもって能動的に問題に働きかけることができるよう、児童に「問い」をもたせることや、いろいろな考え方に触れることのよさを実感できる学習を積み重ねる必要がある。そこで、本校では、「出会う」「はたらきかける」「まとめる」の3過程に6つの学習活動を位置付けた「朝日スタイル」を設定し、問題解決の学習過程とした。特に、児童を受動から能動へと高める「出会う」過程と、かかわり合いながら学びを深めるための「はたらきかける」過程に重点をおき、具体的な手だてを講じ、数学的な思考力・表現力の育成を目指した。
児童を受動から能動へと高める導入‹出会う›の工夫
児童の「問い」を引き出すスモールステップの導入
児童自身が目的意識をもって能動的に問題に働きかけることができるようにするには、児童が「考えてみたい」と思うような「問い」をもたせることが大切である。
そこで、児童と新しい問題との出会いまでの過程を重視し、スモールステップの導入を工夫した。
具体的には、本時で解決したい問題に出会うまでに、少しずつかかわりをもたせ、解決に必要な既習事項を想起させていく。これらの既習事項をもとに「○○の場合にも、この方法が使えるか」という「問い」が児童自身によって生み出され、「考えてみたい」という「能動」に高まるのである。また、「出会う」過程を全体で共有しながら進めていくことで、どの児童も解決に必要な「既習事項」に触れることができ、問題に働きかける姿に結び付くと考える。
児童に「問い」をもたせる問題の条件
○情意面から |
○数学的な視点から |
---|---|
|
|
問題提示の方法と内容
問題提示の方法 |
内容 |
---|---|
(1)条件不足の問題を提示する |
解決に必要な条件を探らせ、演算決定の判断をさせる。 |
(2)条件過多の問題を提示する |
必要な情報を選択し、問題文の構造を理解させる。 |
(2)文章中に□を使う |
児童自身に自分の問いを明確に意識させる。 |
(3)ゲーム活動を取り入れる |
ゲームの楽しさから算数的なおもしろさへと変換し、知的好奇心を揺さぶる。 |
(4)部分から全体をイメージさせる |
図形の一部分を見せて全体像をイメージさせる |
かかわり合いながら学びを深める説明する活動の充実
数学的な思考力・表現力を高めるためには、自分の考えを分かりやすく伝えたり、互いに伝え合ったりするなど、かかわり合いながら学びを深めていくことが必要である。本校では、「はたらきかける」の過程において「問題を解決する」の中に、「自分の考えをもつ」→「解決の検討をする」の二つを位置付けている。「解決の検討をする」活動で、児童のかかわり合いを充実させることによって、いろいろな考え方に触れることができ、学びが深まっていくと考える。そこで、「かかわり合いながら学びを深める説明する活動の充実」を全校での重点的な手だてとし、互いの考えを理解する・深める活動を毎時間、充実させていくことにした。