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教育研究グループ支援(研究成果報告) 詳細

梅一言語力委員会 第5学年 国語科学習指導案

平成24年10月10日(水)
第5学年2組 男子10名 女子12名
授業者 吉田香織

研究主題
高学年分科会テーマ

1.単元名

俳句を楽しもう ~俳句を作ってみよう~

2.単元設定の理由

本学年の児童は、読書をすることが好きで、分からない言葉が出てくると国語辞典で調べるなど、言葉に興味関心をもっている。しかし、意味を調べてもその言葉を使って表現することに結びつかず、語彙力を広げることができていない。また、学校で行ったアンケートでの「伝統的な言語文化」への関心の低さが挙げられる。

このような実態から、日本語に対する興味関心をより高めるためには、言葉のリズムやひびき合いの素晴らしさ、美しさを実感することができる「俳句」を取り上げることが効果的ではないかと考えた。

活動の際に、自分が感じたこと・体験したことを俳句にすることで、言葉の調子やリズムに親しんだり、表現によって創作したりする楽しさを味わい、より俳句に親しもうとする態度を伸ばしていけると考えた。児童が俳句を読み、声に出して読む心地よさを感じる。そして、それぞれの感想の交流を通して、自分とは異なる見方や感じ方に接することで、違いの面白さに気付いたり、新たな発見があったりする経験ができる。さらに、友達がどんな句を選んだのか、その理由を聞くことで、児童同士の理解も深まると考える。

3.単元の目標

【1】単元の目標
【2】評価規準
ア.国語への関心・
意欲・態度
(1)進んで秋に関する言葉を集めようとする。
イ.話す・聞く能力 (1)自分が作った俳句を友達と交流し、言葉の使い方や俳句表現のよさを見つけて簡単な句会を楽しんだりする。
ウ.書く能力 (1)季語から想像して俳句を作っている。
(2)経験したことや想像したことをもとに、材料を集めて整理し、きまりを守って俳句を作っている。
(3)形容詞、形容動詞を別の言葉に置き換えて様々な言葉で俳句を作っている。
エ.読む能力 (1)俳句を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりする。
オ.言語についての
知識・理解・技能
(1)伝統的な言語文化に触れたり、言葉の特徴やきまりに対する感覚などについて関心をもったりすること。

4.学習指導要領との対応

【A】話すこと・聞くこと
指導事項

(1)エ
(2)ウ

【B】書くこと
指導事項

(1)ア、ウ
(2)ア、ウ

【C】読むこと
指導事項

(1)ア

伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項

5.児童の実態

本学級は、国語に対する意欲が高い。本を読むのが好きという児童が多く、授業や家庭学習で取り組んでいる音読活動に意欲的に取り組む児童がほとんどである。発表を進んですることに対しては、半数以上の児童が恥ずかしいなどの抵抗感をもっている児童が多い。その反面、ノートやプリントに意見を書いて考えを深める活動には意欲的に取り組んでいる。自分の思いや考えに自信をもって発表できるようにしていくことが課題である。

「書くこと」では、「長く書くのが面倒くさい」「大変だから」という傾向が見られる。しかしノートやプリントへ意見を記述することには抵抗感がない。

このような実態から、「自分の気持ちや思いを短い文で表現する」ことから取り組むため俳句活動を取り上げることとした。この活動を通して、児童一人一人の感じたことを様々な言葉を使って俳句を通して表現できることを期待している。

6.指導計画(8時間)

学習活動 ■主な学習内容 ●指導上の留意点
◆評価方法
第一次 有季定型であることを理解し、俳句を作って発表する。
1 「秋をテーマ」にした言葉集めをする。 1.「秋」の言葉集めをする。
2.季語とは何かを知り、季語を選ぶ。(ワークシート)
「秋」の言葉探しをしイメージマップをつくる。
●その季節に合うことばを季語と言い、主に自然や人間の生活、動植物を指すことを押さえる。
●言葉選びを工夫したり、つなぎ言葉を工夫したりして言い換えるとよいことを伝える。
●季語の位置などを変えながら、自分の気持ちにぴったりとくる俳句をつくるように伝える。

◆「運動会」を季語にして俳句を作ろうとしている。(ウ-(1))
俳句を三句つくる。 3.「秋の句」を三句作る。
■全員同じ季語で俳句を作る。
4.自分の句を発表する。
2 句会をする。 1.選句用紙を配る。
2.自分がいいなと思った俳句を選句する。
■どうしてその句を選んだのか、理由を発表させる。
3.選んだ理由を発表する。
4.句会賞を発表する。
■選ばれた人は自分の句をどんな思いで作ったのか発表をする。
●一人三句発表する。

◆自分が作った俳句を友達と交流し、言葉の使い方や俳句表現のよさを見つけて句会を楽しんでいる。(イー(1))
第二次 俳句を鑑賞し、自分の考え感じたことを深める。
3 俳句作りの体験を通して俳句を鑑賞する。 1.大峰あきら「虫の夜の星空に浮く地球かな」を音読し感想をのべる。
2.2つの例題をだし、同じ言葉を使い俳句をつくる。どんな言葉がよいか考えさせる。季語を考える。(ワークシート1)
3.季語以外の言葉を空白にし、どんな言葉がよいか考える。(ワークシート2)
4.示された季語で俳句を作り交流する。(ワークシート3)
5.大峰あきらの俳句を鑑賞する。(ワークシート4)
■鑑賞をもとにして、イメージをもって暗唱をする。
身の回りの様子や体験を生かして俳句を作るようにさせる。
6.友達の作った俳句のどんなところが好きかを発表させる。
●感じたことを自由に発言できるよう声かけをする。

◆俳句を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりする。(エ-(1))

●季語を空白にしておく。季語が俳句をイメージさせる核になっていることに気付くようにする。
→季語「虫」
●どの意見にも耳を傾け、肯定的に受けとめるよう声かけをし、児童のおもしろい捉えを認め励ます。
●季語を含む五音を提示することで俳句を作りやすくする。
4
5
発見したことや経験したことをもとに、事実と感想(意見)を区別にして俳句エッセイを書き、内容に関係のある俳句をつくる。 1.「俳句エッセイ」を読んで感想を交流する。(ワークシート1)
2.自分の生活を振り返り、経験したことや発見したことを言葉や文章で表す。(ワークシート2)
■題名を単語(名詞)でつける。
■長い文章ではなく、一番伝えたいことだけを書く。
■様子を交えて書くようにする。
3.ワークシート2で書いたことを俳句で表す。
4.発表する。
●俳句の表す様子を短い文章で表していることに気付くようにする。

◆経験したことや想像したことをもとに、材料を集めて整理し、きまりを守って俳句を作っている。(ウ-(2))
6

形容詞・形容動詞を様々な言葉に置き換えて、俳句をつくる。 1.あらかじめ選んだ一句を何人かに発表してもらう。
2.形容詞、形容動詞にはどんな言葉があるのか確認をする。
3.形容詞・形容動詞を入れないで俳句を作ってみる。
4.出来上がった作品を友達と交換する。互いに推敲していく。
5.発表する。
●事前に一人一句選んでおき、当日配布する。
→なるべく形容詞・形容動詞の入っている句を選ぶ。
●模造紙に形容詞、形容動詞を書き、児童が常に見て確認ができるよう掲示の工夫をする。

◆形容詞・形容動詞を入れないで様々言葉を使って俳句を作っている。(ウ-(3))
第三次 句会や俳画で表現する。
7 句会を楽しもう 1.選句用紙を配り、句会をすることを知る。
2.自分がいいなと思った俳句を選句する。
■選句をするとき、裏返して名前を見ないように気を付けさせる。
3.◎と○の俳句を披講する。
4.◎を選んだ理由を話す。
5.全ての俳句に点盛りをする。
6.句会賞を発表する。
●披講は「いただいた」という気持ちをもって読む。恥ずかしがらずに大きな声で名乗るよう伝える。
●五・七・五のリズムで元気に読み上げられるようにする。

◆句会を実施し、友達の作品を鑑賞し、友達の作品のよい点から表現方法を学ぶことができるようにする。(イ-(1))
8 俳画を描く。 1.これまで作って作品の中から、自分の好きな句を一句選び俳画をつくる。
2.俳画とは何かを説明する。
3.絵を描く。言葉を書く。
4.発表する。
●言葉だけでなく、絵で表現させる。

7.本時の指導と展開(6/8時間)

【1】めあて

形容詞、形容動詞を別の言葉に置き換えて、様々な言葉で俳句を作りかえる。

【2】展開
段階 学習活動 ■学習内容 ●指導上の留意点 ◆評価
導入 1.前時に作った俳句を数人に発表してもらう。
■各班、1~2名発表する。
●これまでの作句の中から、教師が一句ずつ選んでおく。なるべく形容詞・形容動詞の入っている句を選ぶようにする。
課題:「楽しいな」「うれしいな」「きれいだな」などの言葉をかえて
読んだ人に情景が浮かぶ俳句を作ってみよう
展開 2.形容詞・形容動詞には、どんなものがあるか考える。
<形容詞>
例:きれい、美しい・かわいい・楽しい・うれしい・新しい など
<形容動詞>
例:きれいだ・元気だ・おだやかだ・たいへんだ・素敵だな など
●形容詞と形容動詞について説明をする。
形容詞:言い切りのときの形が「い」で終わる。
形容動詞:言い切りのときの形が「だ」で終わる。
●児童から出てきた言葉を模造紙に書いていく。
3.推敲する。
■形容詞・形容動詞の部分を様々な言葉に置き換えて、俳句をつくり直す。
(1)一人で考える。
(2)班の中で話し合う。
■友達の俳句を詠んで、もっとよくするためにはどうしたらよいか、班の中で意見交換をしていく。
●形容詞、形容動詞を書いて模造紙を児童の見やすい場所に掲示しておく。常に確認ができるようにする。
●動きや絵が浮かぶような言葉を考えさせていく。
●最初と最後の五文字を交換するなど、助言する。
まとめ 5.発表する。
■最初に作った俳句をどんな言葉に置き換えることができたのか発表する。
◆形容詞・形容動詞を入れないで、様々な言葉で俳句を作っている。(ウ-(3))
6.次回は句会をすることを伝える。
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