災害発生時のこころのケア その6
東日本大震災・教職員メンタルヘルス支援(第5班)
東京都教職員総合健康センター 臨床心理士 髙橋 靖英
今回、私たちは第5班として5月11日から13日の日程で宮城県気仙沼市を訪れました。
私は今回で3回目の被災地支援になりました。第1回目では、あまりにも厳しい現実に愕然とし、自然の恐ろしさを目の当たりにしましたが、今回うかがうと道端になすすべもなく置かれていた車やおびただしい数の瓦礫が明らかに少なくなっていました。気候も暖かくなり、心地よい風が復興への息吹と感じることができました。
学校現場では、情報伝達の方法が確立してきたことや異動した先生方からの情報もあり、われわれの活動も知っていただけている学校もありました。時に、「待っていました」と声をかけていただけることもありました。
うれしい反面、こちらもできることをきちんとやろうという気概が満ち溢れてくる思いでした。
また、先生方においては連休が明け、本格的に学校も稼動する中でご自身の体調に対し客観的に見つめることができるようになっていたようです。
今まで気が張り詰めた日を過ごされ、休むこともままならなかった先生方は、少し環境が改善されたことで、ともすると気がふっと緩んだ状態になってしまい、さまざまな刺激をダイレクトに受けてしまうことがあるようです。
実際それらを具体的にお話される先生方がいらっしゃいました。
一方では、そのように振り返ることができる状態になった中で、先生方の中には地域の方々に「ありがとう」といわれたことが本当にうれしかった、この体験で学んだ命の大切さを子どもたちはじめ後進に伝えていこう、などと前を向きながら話されていた方もいらっしゃいました。
目を輝かせながら話された姿はこちらも感じるものがありました。
私たちの支援も回数を重ね、今回は千葉県の臨床心理士の方もチームに加わり支援をさせていただきました。支援の輪が広がるのを実感しつつ、今後も先生方にとってよりよい、そして厚いサポート体制を構築できるよう努力していきたいと考えています。