公益社団法人 東京都教職員互助会

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東京都教職員総合健康センター

災害発生時のこころのケア その8

東日本大震災・教職員メンタルヘルス支援(第7班)

東京都教職員総合健康センター 臨床心理士   岡野 真紀子

 第7班は、5月24日から26日の日程で、気仙沼市を訪れました。

 市内までの道のりは、緑の美しい穏やかな田園風景が続きます。それがあるところに来るといきなり、くっきりと線を引いたような津波の爪あとが、生々しく目に飛び込んでくるのです。私自身は今回で3回目の気仙沼ですが、とても慣れる風景ではなく、見るたび重い気持ちになります。

 それでも明らかに瓦礫の山は低くなり、また整理され、あの日から2ヶ月以上が過ぎたことが感じられます。

 初めの頃は、被災後移転したばかりの学校、ひとつの建物にふたつの学校が並存することになったばかりの学校などにうかがいました。向かい合ってすぐ、静かに涙をこぼされた方、「生かされた命、人のために生きる」と決意を述べた方、緑いっぱいの校庭を眺めながら「怖い怖い海だが、海が見えない風景は物足りない」とポツリつぶやいた方もいました。

 今は学校が始まり、子どもたちの声が聞こえています。緩やかに日常が戻ってきている中で、教職員の方それぞれのおかれた状況、想いのギャップは、少しずつ大きくなってきているように感じます。夢のように思えていた出来事が、実感をともなってきたようです。現実をしっかり見つめようと、被災地をまわった方々もいました。涙もろくなったり、眠りが浅くなるなどの変調を感じている方も少なくありません。話の内容も、震災にまつわるご自身のことから、気になる児童生徒のこと、また震災前から抱えている想い、悩みについてと、広がりが出てきました。

 学校が子どもたちの日常を支えている。そのことが、教職員の方々にとっての力、励みになっているように思います。

“我慢強い東北人”のみなさんです。今出来ることを、当たり前にやっていこう、前を見て進んでいこうとしておられる姿に、私たちも励まされます。道のりは少し長そうです。時に、ご自身のための時間を過ごすなど、一息いれていただければと願っております。

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