公益社団法人 東京都教職員互助会

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東京都教職員総合健康センター

災害発生時のこころのケア その11

東日本大震災・教職員のメンタルヘルス支援(総括)

東京都教職員総合健康センター 事務次長 青木広和

 東日本大震災により大きな被害を受けた被災地の学校へは、児童生徒のためにスクールカウンセラーが緊急派遣された。互助会は東京都教育委員会の依頼に基づき、宮城県に総合健康センターの臨床心理士を派遣し、教職員のこころのケアに取り組んだ。

私たちのメンタルヘルス支援活動は、平成23年4月から12月までの間に派遣チームを18班編成し、延べ52名の臨床心理士が1000名近くの教職員に対してカウンセリングやメンタルヘルスセミナーを行った。

《第1クール》 第1班~第8班 (4月3日から6月2日)

【内 容】・・・カウンセリング
【訪問地】・・・気仙沼市及び南三陸町の小・中学校

宮城県南三陸教育事務所管内の学校は42校あるが、津波被害の大きかった沿岸部の学校ばかりでなく、山間部の学校も家を失い転校してきた子どもがいたり体育館が遺体安置所となったりと教職員のメンタルヘルス支援の必要性は広範囲であった。震災直後は自身も被災者でありながら、学校の先生は支援者としても機能しなければならなかった。訪問した学校では、原則として全教職員のカウンセリングを行ったが、「もっと大きな被害を受けた先生がいるので、自分は大丈夫」と他人をかばい、気を張っている人が多かった。

《第2クール》 第9班~第12班 (6月21日から8月19日)

【内 容】・・・メンタルヘルスセミナー等
【訪問地】・・・仙台市、石巻市及び気仙沼市ほか

瓦礫で埋め尽くされていた沿岸部も更地に整備され、被災地へはさしあたって必要な支援は行き渡っているように見えた。学校の夏季休業期間を利用して教職員の方々にリラックスしてもらおうと、メンタルヘルスセミナーでは動作を用いたストレスマネジメントを実施し、リラクセーションワークを体感してもらった。しかし、緊張が解けたセミナー終了後の個別面談では、震災後ずっと誰にも話せなかった心の内を臨床心理士に吐露するケースがあった。

《第3クール》第13班~第18班(9月26日から12月2日)

【内 容】・・・カウンセリング
【訪問地】・・・気仙沼市及び南三陸町の小・中学校

震災から半年を経過し、被災地の学校でも以前の教育活動に戻りつつある状況となった。宮城県教育委員会が第1クールで訪問した各学校に教職員のカウンセリングの希望調査を行い、希望のあった学校に臨床心理士を再度派遣することにした。訪問校は前回実施の1/3の14校であった。学校の復興とともに校務が多忙となり、時間が取れなくなることはやむをえないが、反面、実際にカウンセリングを受けた人の中には2時間近く話し込まれる方もいた。

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