公益社団法人 東京都教職員互助会

文字サイズ変更
トップページ > 教育支援事業・ボランティア情報 > 人材バンク事業 > 外部人材活用事例の紹介 > 東村山市立東村山第六中学校

外部人材活用事例の紹介-特色ある教育活動への支援-

特色ある教育活動への支援

東村山市立東村山第六中学校
ボランティア 田辺 守一

1.学校の概要

学校名 東村山市立東村山第六中学校
校長名 宇賀神 國夫
学級数 12学級
生徒数 405名
教職員数 教員関係は非常勤教員を含め校長以下25名。
特別支援教育コーディネーター、都・市事務職員、スクールカウンセラー、給食事務・配膳員、学校図書館専任司書、教員サポーター、退職教員ボランティア、学生ボランティア

2.学校の状況

JR武蔵野線新秋津駅と西武池袋線秋津駅から徒歩約15分のところに学校がある。近くに川が流れ鉄道や大きな幹線道路からも少し離れたところにある。周りにまだ畑が残る閑静な住宅街の中にある。平成20年度は現校長が市内から再任用校長として着任された年、本校創立30周年の節目の年という歴史をもつ。学力や生活指導面の状況を見ると二極分化の傾向が見られたが、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、学年の教育相談担当教員、管理職で構成される特別支援教育校内委員会が核となり、支援教育を推進している。合唱コンクール、運動会、学習発表会、地域に学ぶ会等特色ある学校行事に全校生徒が意欲的に取組み成果を挙げている。

3.学校の特色

平成23年度の重点目標

よく考え、自ら学ぶ生徒の育成 ~『確かな学力の定着』を図るための授業研究を行う

学校の特色
このページのトップへ

4.特色ある教育活動

特色ある教育活動

5.特別支援教育の充実

特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーを中心とした特別支援教育校内委員会を開催し、充実した教育を推進している。

平成17年度より校内研修会で「特別支援教育」に関する研修を実施している。3年間を見通した進路学習をねらいとして、支援を要する生徒も本校で学ぶ喜びを見出し、上級学校につながる系統的な指導を推進している。

土曜補習教室
土曜補習教室

6.ボランティア活用事業申請に至る経過

(本校校長と報告者との関係を中心に)人材バンク(退職教員ボランティア活用事業)の発足と同時に、都退職校長会北多摩中部支部「教育支援委員」として、市内校長会の席上で趣旨を説明した。その結果4年ほど前の市内中学校での保健室登校生徒への指導の状況をご存知であった東村山第六中学校校長より依頼があり、採用となった。

7.活用事業申請の理由

本校が目指す「学力向上」―基礎・基本の定着と発展的な学習、指導方法と評価の工夫(少人数指導・TT指導)、「健全育成」、「健康・体力づくり」活動を一層充実させるための人材活用方針によるもの。

このページのトップへ

8.活動内容

どのような活動を行っているのか?~これまで3年間の報告に代えて。

その1

朝の職員打合せ会と引続いた全校朝礼で生徒、職員に紹介された。職員室に戻り、座席が決まり、副校長より全校一週間の授業時間割が渡された。「どの学級、学年、教科でも。まず、M先生の2年生4クラスの英語TT授業をお願いします。」との指示があった。このほかの時間には、他の授業を参観し可能な支援活動は何かを模索した。授業と学校の雰囲気に慣れ、生徒・先生方・職員とのコミュニケーションに努めた。

その2

TT授業では、欠席生徒の代役となり生徒との対話練習を行うなど、M先生との楽しい授業が待ち遠しかった。

その3

市内希望学級への通級生徒、欠席がちな生徒が登校して来た際には、学級担任や養護教諭からの連絡を受け、小会議室で、授業進度に合わせた数学・英語・社会等の教科指導を行ったり、長期欠席の生徒には本人の到達程度に応じた補助教材を用いて学力回復、充実に向けた指導を行っている。

その4

都教委の推進事業である土曜補習教室が地域の講師による英検対策と数学・英語の自学・自習の習慣づくりとして始められた。退職教職員、保護者、大学生ら地域の講師と共に毎月2回参加している。

その5

平成23年度は、自ら申し出て数学少人数指導の授業補佐を行っている。本校では数学の授業で2クラス60人の生徒を3クラス20人ずつに分けて、「発展」1クラス、「基礎」2クラスを開設し、生徒・保護者の希望をもとに授業を行っている。先生の指導についてくることが難しい生徒を中心に支援活動を行っている。同時に、「特別支援教育校内委員会」から話のあった支援を要する生徒の数学以外の国語、社会等の授業でも先生の補佐役(芝居での「黒子」役)を演じている。先生の発問への反応、挙手の様子、ノートの書き方、問題に取組む様子等を観て、褒めたり、ヒントや助言をしたり、主に励ますように努めている。

これにより、いわゆる低学力と言われる実情としては、小学校レベルの未習得、家庭での自学習慣が未熟、従って、ノートの活用が下手であること等、個人差の内容も程度も違っていることが推測される。

このような生徒には、放課後等の個別指導、補習指導の必要性を感じ始めた。

9.ボランティアとして本校の教育改革の取組みにどう貢献しているか

本校での支援活動を始めた時から、「放課後の個別指導」を特に、数学について感じていた。数学の少人数授業での「黒子」体験でも、同様に感じたことである。特別支援教育コーディネーターの先生から「放課後の個別指導」実施のための時間確保の見通しができたと告げられ、飛び上がらんばかりにひとり喜んだ。企画委員会でもこの補習のことが話題になっており、全校が期待していることを痛感した。

放課後個別指導
放課後個別指導

平成23年10月、合唱コンクール後にその準備が始まった。小学校高学年の習得すべき学習内容として市内の研究指定校である市立大岱小学校の「これっきり・さんすう」を教材として採用するため、同小現校長の許可を戴いた。10月17日(月)を初日とし、毎週月曜日6校時、約20名の生徒と共に基礎的な学習に取組んでいる。

この活動は始めたばかりであるが、生徒と共にやりながら、何ができないのか、どんな内容ができないのか、この生徒の弱点は何か等、生徒とのやりとりを通して把握していく考えでいる。そのことを数学の教科担当の先生方に報告し、ご指導ご指示を戴きながら、基礎的内容を完璧に身に付けるまで懸命に支援、指導をしていく決意である。

これまでと勤務日を変更して新たに月曜日にも出校することになり、放課後までとなるので、初めて給食を先生方と共に食べることになった。授業では黒子であるが、文字通り本校の一教員としてのやりがいと、自信と、誇りが今まで以上に感じられ、一層重い責任をも感じている。生徒や教職員の皆さんと気持ちを一つにして励む決意を新たにしている。

このページのトップへ

10.私は個別指導をこうして始めました

【1】数学の授業の中で

少人数数学授業が全学年で実施されている。2クラス合併して「基礎」2教室、「発展」1教室の3つ教室がある。私は、その「基礎」2教室の授業補助、「黒子」となり、褒めたり、助言したり、ヒントを与えている。この活動の中で、授業中の学習内容の習得に様々な課題を持つ生徒に出会い、何とか個別にこの生徒たちを指導できる「時」と「場」を作りたい、基礎基本の学習の機会となる個別指導の必要性を痛感した。

特に1年生の場合、入学して直ぐに実施された「入学おめでとうテスト」(48点満点)の結果、20点以下で、更に7月の中間考査、9月の期末考査の得点結果でも、何とか個別学習で基礎基本を身に付け学力向上を図る場を作れないものか。校長先生はじめどの先生も同じく願っておられる。

【2】校内特別支援委員会

個別指導の「時」と「場」を特別支援教育コーディネーターの提案を受けて実現のための全校的な努力により、2期制も後期に入り諸行事の合間を縫う形で、月曜日6校時を個別学習の時間と定めた。目標を数学の学力補充と決め、学年で対象生徒が検討され、各学級から4、5名ずつ、合計20名の生徒が指名された。

【3】生徒が意欲的になれるよう配慮

私は、「勉強がわからないまま、次の勉強に進むことがあった」「先生はわからなくて困っている人をそのままにしてきたことを反省している」「わかりたいのに、相談する人がいない」「一人で勉強してもわからない人、そんな人を応援したいという気持ちで、この学習を用意した」などの内容の生徒と保護者向けの手紙(5頁)を用意した。毎週月曜日6時間目には、部活や委員会活動もやりながら、1年4組の教室に集まってきてほしい、と願った。

【生徒と保護者向けの手紙】

☆ 生徒のみなさんは、学習の前に読んで下さい。

これから学習する「これっきり」とは?

  • 「これっきり」は、どうしても、みなさんに「これだけはわかってほしい」という思いから作られました。
  • これまで、勉強がわからない人のためのテキストを作っていませんでした。勉強がわからないまま、つぎの勉強にすすむ人がいました。先生方はこのことを反省しています。
  • そこで、小学校の算数や中学の数学がわからなくて困っている人、わかりたいのに、そうだんする人がいない人、補習質問教室で勉強をしてもわからない人、そんな人を応援したいという気持ちでこの学習を用意しました。
  • みなさんは正解になるまであきらめないで勉強してください。先生は一生けんめい教えます。
  • 算数の基本の勉強には、このテキストだけでじゅうぶんです。最後まで終えたら、また、最初からはじめ、くり返して勉強をしましょう。
  • みなさんがどりょくすることを期待しています。

【保護者の方へ】

☆ 保護者の方にもお読みいただけたらと思います。

「これっきり」について

  • わからない子に、知識・技術や考え方を確実に身に付けさせる。生きていくうえで、「これだけは必要である」ことを理解させることが「これっきり」のねらいです。
  • このような考えの背景には、学習につまずきのある人用のテキストがなかった。これだけは理解してほしいという基礎・基本の内容を指導する教材があまりなかった。学習を理解させないまま、つぎの単元に進まざるを得ない現状があった、などが正直にいってあります。
  • そこで、東京ミニマムは、「児童・生徒の学力向上を図るための調査」から、つまずきの傾向を分析し、「学習の素地として確実に身に付けさせておく必要がある資質・能力」を段階的に指導する「指導基準」を作りました。
  • 「これっきり」は、その「指導基準」を受け、基本中の基本を身に付けさせるための「テキスト」です。これだけは生きていくうえで知ってほしいという願いをもとに作成した「テキスト」です。
  • 生徒がわかるまで丁寧に熱意をもって指導します。わかるまで何度でも教えます。自信がもてるようになるまで。
  • 生徒がわからなかったら、自らの指導の仕方に課題があると考えます。
  • 以上をご理解いただき、お子さんを励ましてください。
【4】教材の選択を工夫しました

東村山市立大岱小学校が文部科学省研究指定校としての研究成果の一つに「これっきり さんすう」がある。幸い前、現校長先生のお許しを得たので、それを教材と決めた。「学習につまずきのある人用のテキストがあまりなかった」「これだけは理解してほしいという基礎基本の内容を指導する教材があまりなかった」「児童・生徒の学力向上を図るための調査からつまずきの傾向を分析して学習の素地として確実に身に付けさせておく必要がある資質能力を段階的に指導する指導基準をつくり、これを受けて、これだけは生きていく上で知ってほしいという願いをもとに『これっきり さんすう』が作られた。この基本理念を貫く教材を活用できることができた。

これっきり算数(一部抜粋)

これっきり算数

【5】どのようにすすめられたか

第1回目は10月17日であった。数名が部活動、委員会活動などのために欠席した。最初に「手紙」(5頁)を皆で読んだ。家に帰って家の人にも読んでもらうようにした。早速、『これっきり さんすう』の5年生の学習内容(6~8頁)を24の設問で構成した「その1」に取組ませた。指導上の留意点としては、自分のペースでやる、わからないところがあっても自分の力で考えたり、小学校でやったことを思い出す。毎回、自力で解答させた用紙を提出させ、自宅で採点し翌日には必ず、返却して再学習を促した。どの生徒の答案も赤鉛筆で真っ赤になるほど間違いが多く、わからないのか白紙の状態が続く生徒も少なくない。10月24日も3名が来なかった。31日の第3回目になり、指名された生徒が全員そろった。それまで来なかった生徒の提出した用紙を採点してみて、かなり好成績であったので安心した。11月7日、小数と小数の掛け算、小数と整数の割り算など、どのように解いたらよいのかが分からない生徒も少なくないことがわかったので、設問一つ一つの考え方と解き方を説明し、正解を教え、書き写させ、家でくり返して暗記するまで、何回でもやるように指示した。この日、途中から加わった生徒がまだ十分に設問を理解できていないことに配慮して、予定したテストを一週間延期した。

11月21日、この日はこれまで解いて来た「その1」とまったく同じ問題を解くテストを行った。その結果、18人の生徒のうち、1名が全問正解の「合格」を勝取ることができた。もう少しで全問正解という生徒が続いた。

11月28日、この日は最初に、「その1」を見事に合格した生徒に合格の賞状を授与した。一同、拍手!今度は皆が合格の賞状がもらえるよう、合格した生徒に続けと励ましの言葉を贈った。

どのようにすすめられたか

【6】山あり、谷あり

合格者が出てきた反面、「もうやめたい」といい出す生徒も出てきた。担任には出席状況や設問毎の出来栄えなど、生徒の状況を報告するようにした。「やめたい」といった生徒も、担任と話合いをして再び頑張るという気持ちになってくれた。なかなか解けないからと「やめたい」という生徒も元気が出てきた。山あり、谷あり。

このページのトップへ