教育研究グループ支援(研究成果報告)
東京都立小平特別支援学校
研究テーマ
- 入院している児童・生徒のオンライン行事の充実
研究期間:令和3年4月1日から令和4年3月31日まで
研究結果の概要
病院訪問部の概要と研究の目的
都立小平特別支援学校武蔵分教室病院訪問部は、東京都の多摩北部地域の病院に入院している小学生から高校生までの児童・生徒のための訪問学級である。それぞれの病院に教員が出向き、基本的に一対一の個別の授業を行っている。児童・生徒の実態が様々な上、近年は3ヶ月程度の短期的な入院の児童・生徒が多い。またそれぞれの児童・生徒は異なる複数の病院に入院しており、行事と言っても一同に会すことは殆どできない。このような中、どのような児童・生徒がそれぞれ異なる病院にいても参加でき、普段の授業での一対一の関わりとは異なる、人とのつながりが意識できる学校行事について研究を進めた。
研究の成果
芸術体験教室
オンラインでの美術ワークショップに長けている外部講師を招き「ひかる形、重なる色 ~影絵作品の制作と鑑賞体験~」と題した芸術体験教室を開催した。オンラインで講師よりデザインと影絵の話を聞いた後、ワークショップで予めカットされたカラーセロファンを使った制作を体験する内容で、正解も不正解もなく、どの学年の児童・生徒もイメージを膨らませながらセロファンの配置を工夫して楽しみ、達成感を得ることができた。また講師とオンラインでやりとりしながら作品への構想を深めることができた。
文化祭(オンラインの部
全体合奏と個々の学習発表をオンラインで行った。合奏では楽器パートを振り分け、別々の病院に入院する児童・生徒たちがそれぞれ演奏して録画したものをひとつの映像に合わせて合奏に仕上げた。多くのパートを用意することで、直前に入院する児童・生徒がいても対応できるようにした。また学習発表の中にクイズを織り込み、参加者とやりとりできる場面も設けた。普段一人だけで授業を受けている生徒も、この日は他の児童・生徒の学習の様子を知り、自分の学習の成果を他の人に知ってもらうことで、人とのつながりを意識することができた。
まとめ
年度のはじめにどのような児童・生徒が在籍するか予測できない特異な状況において、行事を計画する際に工夫するポイントは
- 児童・生徒の実態によって課題の難易度や量が調節できるものを用意すること
- 正答も誤答もない体験的な活動を用意すること
であった。
そして入院している児童・生徒が病院の外にいる人と交流するために、オンラインは欠かせないツールであることを改めて確認した。