教育研究グループ支援(研究成果報告)
杉並区立済美養護学校
研究テーマ
- 児童・生徒が、主体的に学習に取組む態度を育てる授業改善 ~主体性の評価をとおして~
研究期間:令和5年4月1日から令和6年3月31日まで(継続中)
研究結果の概要
本校は、知的障害のある小学生・中学生の通う、都内では唯一の区立特別支援学校である。杉並区全域を通学区域とし、小学生・中学生を合わせて180人の学校である。教員は約70人、その平均年齢は40歳弱であり、教職経験が15年未満の教員が30%以上を占めている。定期人事異動では、特別支援学校での勤務経験がある教員が転入することはまれであり、市区町村の小・中学校で特別支援学級や特別支援教室を経験した教員、通常の学級での指導のみを経験した教員が大多数を占めている。このように、障害の状態が中・重度の児童・生徒に対する特別な配慮や支援・教育を行う特別支援学校への勤務は初めて、という教員が多い。しかし、このような教員達は、特別支援学校での勤務経験があるごく一部の教員から、そのノウハウを学んで自分の指導にいかそうと努力する姿が見られており、勉強熱心であることも事実である。
そこで、知的障害が中・重度である児童・生徒の実態を的確にとらえるため、日ごろの学校生活における彼らの主体性に着目し、この主体性を捉え的確に評価できると、児童・生徒が積極的に新しい力を身につけやすくなると仮定し、研究主題を設定した。さらに、全教員が持続的に意欲的に学び続けられるように、各教員の経験年数・経験校種を基にして意図的に7~8人程度の少人数グループに分け、このテーマで研究を進める仕組みを整えた。
年度当初は、この研究スタイルに馴染めない雰囲気があったが、グループ内の教員間でお互いの授業を見合い、少人数で積極的に意見交換ができるようになり、グループ毎に、児童・生徒の主体性をどう捉え、主体的に学習に臨むためにどのように授業の工夫を行うのかを考えられるようになってきた。
年度末(3月)に、各グループが1年間の研究成果を発表し合う研究成果報告会を開催した。教員が、他グループの成果報告を聞くことで、児童・生徒の主体性の様々なとらえ方や授業改善のポイントを知ることができた。この研究成果報告会を経て、次年度の各グループの研究の方向性を微調整し、新年度当初には、各グループの新しい研究計画を、教員が主体的に立てられるように変化し始めている。
また、杉並区教育ビジョン2022では、新しい時代に応じて学び続ける教師の育成を目標とした、組織的な人材育成を求めている。本校のように70人を超える教員数であっても、同じ方向を向き主体的に積極的に学び続けるきっかけを作ることができるという実績を示すことができたと考えている。