公益社団法人 東京都教職員互助会

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教育研究グループ支援(研究成果報告)

研究の概要

人も自分も大切にする子どもの育成
~人権意識を高める授業づくり~

あいさつ

東久留米市教育委員会 教育長 永田 昇

東久留米市立本村小学校では、本市教育委員会基本方針の一つである「人権尊重及び社会貢献の精神の育成」に視点を当て、平成22・23年度の2年間、東京都教育委員会の人権尊重教育推進校の指定を受けて研究を進めてきました。

研究主題を「人も自分も大切にする子どもの育成」とし、高齢者との交流活動を行ったり、互いに協力し合う活動を設定したりして、自動の人権意識を高めて下さいました。また、教員への研修会や、学校便り等を使っての保護者への啓発活動を実施していただきました。これらの活動の成果は、子供達の姿にあらわれてきています。

本研究を進めてこられた本村小学校長 岩清水 克美先生をはじめ、教職員の皆様の御尽力に感謝いたします。

この研究を基にして、本村小学校、さらには本市全体における人権教育が一層充実していくことを期待し、あいさつとさせていただきます。

はじめに

校長 岩清水 克美

「あなたも大切です。わたしも大切です。みんなみんな大切なのですよ。」
「さあ、『あったかハート・あったか言葉』がいっぱいの本務jら小学校にしましょうね。」

児童朝会の校長講話で、子どもたちに常に語り続けてきました。そして、子どもたちの優しいまなざしと温かい言葉を受け止めながら、スモールステップではありますが、子どもたちの変容を感じ取ってきました。

人権教育を推進するに当たり、教職員の人権感覚を磨くことから始まった本研究は、今では、授業の中での推進はもちろんのこと、学校生活のあらゆる場面で意図的・計画的に推進されるようになりました。学校だけでなく家庭・地域に発信していく中で、大人の人権意識の高まりも感じられるようになりました。また、子どもたちの『あったかハート・あったか言葉』が地域に広がっていきました。

まだまだ研究半ばではありますが、ここに研究成果の一端をご報告させていただきます。今後とも、皆様のご指導をいただきながら、本研究を更に深めてまいる所存でございます。

最後になりましたが、本研究に対してご指導をいただきました講師の先生方に、また、研究の機会とご指導をいただきました東京都教育委員会並びに東久留米市教育委員会に、心より厚く御礼申し上げます。

研究主題設定の理由

最後になりましたが、本研究に対してご指導をいただきました講師の先生方に、また、研究の機会とご指導をいただきました東京都教育委員会並びに東久留米市教育委員会に、心より厚く御礼申し上げます。

  1. 創る
    深く考え、想像力のある児童の育成
  2. 思いやる
    自他のよさに気付く心豊かな児童の育成
  3. 活きる
    健康で、何事にも意欲をもって活動する児童の育成

以上の教育目標の中でも、本校児童の実態に則した重点として、特に「思いやる」を取り上げている。
このような教育目標と供に、人権尊重教育推進校として研究を進めるにあたり、以下の3点を目指す児童像とした。さらに具体的な手立てとして、教師にとって最も重要な授業づくりを方策の中心と考え、副主題を「人権意識を高める授業づくり」と設定した。

人権の木

授業力を高める 人権教育の視点を明確にした授業の実践

低学年分科会 第2学年 生活科の実践

単元名 「ともだちいっぱい なかよくしようね」(7時間)
単元の目標 これまでの自分の成長を振り返るとともに、自分が1年生の時に教えてもらったことを思い出し、1年生に学校について教えることができる。

学習内容

 

これまでの自分の成長を振り返るとともに、2年生になった喜びや抱負について話し合う。次に相手の立場に立って、1年生がよく分かる学校探検の計画を立てたり、招待状を書いたりする。学校探検をし、2年生になった喜びなど、感想を出し合い、相手を思いやる気持ちなどを育む。
児童の言葉から ・交流会で、1年生のために何をしたらよいか考えようよ
・1年生に優しくして、分かりやすい言葉で説明することが大切だね。

人権教育の視点

1年生の実態や気持ちを考えて活動することを通して、相手を思いやる気持ちと優しく接する態度を育てる。

中学年分科会 第4学年 総合的な学習の時間の実態

単元名 「高齢者と交流し理解を深めよう」(14時間)
単元の目標 高齢者に対する尊敬や感謝の心を育て、共に気持ちよく生きていくために必要なことを考えることで、これからの生活に生かそうとする。

学習内容

 

高齢者と交流するとともに、偏見や差別につながる課題を見付ける活動を通して、高齢者の視点に立った地域社会の在り方や、これからの自分の生活について考える。
児童の言葉から ・この間、近所のおばあちゃんが、落ち葉掃きをしていた。自分から手伝うことができたよ。
・おじいちゃん、おばあちゃんとの交流が楽しみだな。喜んでくれたらうれしい。

人権教育の視点

高齢者に対する尊敬の心情や態度を育てる。

高学年分科会 第4学年 総合的な学習の時間の実態

単元名 「戦国の世から江戸の世へ」(10時間)
単元の目標 キリスト教の伝来、織田・豊臣の天下統一、江戸幕府の始まり、参勤交代、鎖国について調べ、戦国の世が統一され、身分制度が確立し武士による政治が安定したことを理解する。

学習内容

 

長篠の戦いの様子から、3人の武将に関心をもち、戦国の世から安定した江戸時代への移り変わりを調べ、時代の変化を考える。その後、江戸時代における身分制度やキリスト教の禁止、鎖国などについて調べ、安定した武士の政治が確立していったことをまとめ、その中で厳しく差別された人々の存在があったと考える。
児童の言葉から ・身分によって、生まれつき職業などがきめられていることが分かった。
・江戸幕府は、武士を中心とする世の中を長く続けるために、武士が支配しやすい身分制度を決めたんだね。

人権教育の視点

江戸時代には、幕府の身分制度を土台に人々を支配し、その中で厳しく差別された人々の存在があったことを理解させる。

教職員の人権感覚を磨き、家庭や地域に発信する

教職員の人権感覚を磨く

校内での人権教育研修会
フィールドワークによる研修

家庭や地域に発信する

本村だより(学校便り)による啓発
道徳授業地区公開講座での講話
あいさつ運動への保護者の参加

児童の人権意識を高める

「あったか言葉」収集運動 児童の言葉から
人権標語 児童の標語から

2年間の研究の成果と課題 ○成果 △課題


授業実践を通して、児童の人権意識を高めるために、次の3点の手立てが有効であった。


人権教育の視点を踏まえ、全教育活動を見直した。啓発活動や校内提示の充実などを図ったことで、児童の人権意識が高まった。


家庭・地域に対し、啓発活動を行ったことで、学校・家庭・地域が一体となった教育活動が展開できた。


人権教育年間指導計画の更なる充実を図り、全教育活動で人権教育の視点を明確にした授業を推進していく。


地域の特色を生かした教材開発を更に進めていく。

本研究に携わった教職員(23年度)

校長 岩清水 克美 教論(5-2) 森本 恵美子
副校長 山田 和也 教論(6-2) 井石 宏伸
主幹教論(6-1) ○小松 拓 教論(音楽) ○関 祐文
主幹教論(4-1) ◎板場 修 教論(図工) 岩崎 麻美
主任教論(3-2) 藤井 智恵 教論(少人数) 江口 洋子
主任教論(2-1) 松本 雅子 養護教論 重松 陽子
教論(1-1) ○河合 紗由利 都事務 堀井 貴子
教論(1-2) 加藤 美佐子 市事務 浅井 圭子
教論(2-2) ○丹野 智治 用務 加藤 初男
嘱託(3-1) 古橋 輝子 用務 荒島 美代子
教論(4-2) 下田 裕子 栄養士 尾崎 智子
教論(5-1) 及川 貴史    

◎研修主任 ○研究推進医院

22年度の教職員
主任教論 五十嵐 伸洋 教論 塩野 美登里
教論 樋口 隆子 養護教論 吉村 奏恵
都事務 瀬戸 丈二 市事務 中尾 奈美
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