教育研究グループ支援(研究成果報告) 詳細
道徳教育勉強会
- 読み物資料を活用した道徳の授業づくり
1.平成24年度の年間活動の概要
【1】横山利弘先生を囲む道徳教育東京勉強会
回 | 月 | 日 | 曜 | 時間 | 会場 | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | 19 | 土 | 14:00-17:00 | 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 | 35人 |
2 | 7 | 14 | 土 | 14:00-17:00 | 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 | 23人 |
3 | 9 | 15 | 土 | 14:00-17:00 | 府中市女性センター | 27人 |
4 | 11 | 17 | 土 | 14:00-17:00 | 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 | 23人 |
5 | 2 | 16 | 土 | 14:00-17:00 | 杉並区立阿佐ヶ谷中学校 | 28人 |
【2】自主勉強会
回 | 月 | 日 | 曜 | 時間 | 会場 | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | 21 | 土 | 14:00-17:00 | 府中市立府中第八中学校 | 15人 |
2 | 6 | 9 | 土 | 14:00-17:00 | 江戸川区立西一之江小学校 | 12人 |
3 | 8 | 11 | 土 | 三宅村立三宅中学校(悪天候により中止) | ||
4 | 10 | 27 | 土 | 日本道徳教育学会鳥取大会へ参加(勉強会から3名参加) | ||
5 | 12 | 8 | 土 | 14:00-17:00 | 府中市立府中第八中学校 | 4人 |
2.研究内容について
【1】横山利弘先生を囲む道徳教育東京勉強会
道徳教育についての今日的課題についての講義
読み物資料の分析と中心発問づくりのグループ研修
今年度の勉強会の中心課題
「あらためて道徳の時間の目標を考える―基本にもどる―」(1)道徳の時間の目標をおさえる。
「道徳の時間においては…補充、深化、統合し、道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め(:授業のやり方、方法)、 道徳的実践力を育成する(:道徳の時間の目標)ものとする。」
「生き方についての自覚深め」る指導方法を工夫して、「道徳的実践力」を育成する。
(2)授業の中で、生徒が「生き方についての自覚を深め」る読み物資料の活用
その構図として
☆「誰が変化したのか」、「きっかけは何か」、「何で変化したのか」を押さえる。そして道徳的変化に向かう主人公が、どんな思いで、また何を考えてそうしたのかをじっくり考えることで、人としてよりよい在り方、生き方を見つめることができる。そのためには、導入は簡潔に、補助発問も最小限に中心発問に時間をかけ、生徒の考えを深めさせる時間を充分確保する。
(3)価値の一般化について
展開の後段や終末にかけて、生活にもどす指導(価値の一般化)は、発達段階に応じて、ふりかえりを考える場面として扱われている。小学校の低学年では他律の段階(先生や親が言うことが正しい)にあり、生活に戻して考えさせることは大切である。しかし、発達段階と共に、「価値の一般化」が行動の枠にはめ込む指導につながってしまえば、それはお説教と変わらない話になってしまう。従って、展開の後段について、または終末の教師の説話では、中学生の場合、中心発問で深く考えることができれば、その日の授業の感想としてワークシートに自己の振り返りが内発的に現れてくる。読み物資料を活用する場合、自分自身の行為・行動を振り返らせるより、主人公と同じ気持ちになったことはないかなどその資料から離れない程度の振り返りが望ましい。
(4)先人・偉人を取り上げた読み物資料の活用
良い資料とは「手本として生きろ」という資料ではなく、その生き方を深く考えることができる資料である。先人の資料では、生きる上で様々な困難に立ち向かい、何度も壁にぶつかる中で、それでもあきらめない強い思い(意欲・意思)や考え(もう少し知的で人生観的で判断力に近い)を聞くことが大切である。「その人が人生を懸けたことは何か」「何がそうさせたのか」「その時どう考えたのか」を押さえてじっくり読むこと。
【2】自主勉強会
道徳のねらいと読み物資料を活用した指導の在り方について
読み物資料の分析方法と中心発問づくり
- 第1回は府中第八中学校での土曜授業日の開催で、初任者5名を中心に初参加者9名を含む参加者15での勉強会となった。基本的な道徳の時間の指導のねらいについて勉強し、「窓ガラスとさかな」を取り上げた資料分析、中心発問づくりに取り組んだ。グループ協議では、ベテランの参加者が指導的に関わり、初参加者の疑問や戸惑いに答えながらの勉強会となった。
- 第2回は西一之江小学校で区内道徳担当者及び初任者を含む12名で、道徳そのもののねらいや指導方法について日頃の指導の戸惑いや問題点について話し合い、道徳の時間の指導について理解を深める機会となった。
- 道徳の指導について、多くの教員が初任者に限らず戸惑いを抱えている。しかし勉強の機会や方法がわからず悩んでいる中で道徳の指導の時間に向き合っている。この悩みに応えるような勉強会があれば、道徳への意欲は高まると思われる。東京勉強会は、この点に注目し、地域巡回型の勉強会の開催を進めていこうと話し合った。
- 第3回は夏期休業を活用し、三宅中学校での合宿型勉強会を計画したが、悪天候に見舞われ、三宅島入りを断念せざるを得なかった。
- 第4回は日本道徳教育学会第80回鳥取大会に勉強会から3名で参加した。大会テーマ「道徳授業成否の鍵は資料にあり」について基調講演、公開授業、分科会を通して、読み物資料の役割が人としての生き方在り方や生き方を考えるためのどうあるべきかを学びその報告を第5回の勉強会で報告した。
3.成果と課題
【1】成果
- 東京勉強会には、他府県から多くの参加者があり、道徳教育の今日的な課題について有効な情報交換の機会となっている。
- 毎回、横山利弘先生の講義を通して、道徳の時間の指導について基本にもどり大切にすべきことは何かを確認することができた。
【2】課題
- 改めて内容項目をしっかり読み深めること。教師自身が道徳的価値を深く考え、捉えなおす必要がある。
- 道徳の時間の指導においては、どれだけ中心発問に時間をかける授業が実践できるか、深く考える時間をつくれるか、そこに大きな課題がある。