教育研究グループ支援(研究成果報告)
八王子市立宇津木台小学校
研究テーマ
- 算数CBMによるプログレスモニタリングを援用した最低学力保障プロジェクトの効果
研究期間:令和5年4月1日から令和7年3月1日まで
研究結果の概要
算数の学力不振の対策について、全校で取り組む体制が整備された。
まず、算数CBM(野田,2020a;野田,2020b)を用い、基礎的な四則の計算、大小の比較や数列の推理について、全校児童の流暢性の定量的測定を年間3回実施した。これにより、各学級における学力不振のリスクが高い児童を抽出することができた。
さらに、上述の算数CBMの測定結果を踏まえ、「算数チャレンジ」と題する朝学習を通年実施した。算数チャレンジでは算数CBMで扱う四則計算をはじめとする算数の基礎的なスキルを題材とし、一定時間内での正答問題数を各児童が記録し、グラフを作成する活動を中核的な活動とした。パフォーマンスフィードバックと呼ばれる、自身の達成成績による強化がほぼ全児童において生じ、全校児童の計算の流暢性が大幅に向上する結果が生じた。
また、2学期後半に算数CBMの測定結果において天井効果が生じたこと、および他の学力調査等の結果を踏まえ、算数チャレンジの時間内で当該学年の算数の復習を計画的に実施した。この結果、既習事項の忘却を予防することができた。
引用文献
熊谷恵子(2016).算数の教科学習の系統性と関連させた算数障害スクリーニング検査の作成 日本学術振興会 科学研究費助成金報告書.
野田航.(2020a).小学生用算数のカリキュラムに基づく尺度(算数 CBM)の開発と信頼性・妥当性の検討 基礎的な算数スキルに着目して. LD研究, 29(1), 45-56.
野田航.(2020b).公立小学校における算数のカリキュラムに基づく尺度(算数 CBM)を用いた学校規模の算数指導: 介入に対する反応性モデル (RTI) に基づく第1層支援の効果.LD研究,29(4),237-244.