公益社団法人 東京都教職員互助会

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お知らせ

ふれあい感謝状21受賞者 活動報告

第21回ふれあい感謝状21

都立千早高等学校 演劇部顧問 加藤 篤志

本校の演劇部には決まった台本がなく、部員一人一人がアイディアを出し合いながら芝居創りに励む「集団創作」という手法で創作をしています。そのため一般的な「演劇」のイメージとは異なる部分も多いかもしれません。週3回の活動日には発声練習もなければ呼吸や滑舌トレーニング、体力づくりのための筋トレ等も一切なく、部員は活動場所に集まるや否や思い思いの場所でおしゃべりに花を咲かします。でもその何気ない「おしゃべり」こそが大切で、学校生活や家、アルバイト、好きな人のことなど話題は多岐にわたり、そのどれもが彼女たちにとって身近なものばかりなのです。そしてそこで出てきた話題からヒントを得て1つのシーンとし、それらを積み重ねることで作品を完成させていきます。つまり本校の作品は紛れもなく「千早高校生の日常」そのままなのです。その意味で「状況報告演劇」とも呼んでいます。

彼女たちの話を聞いていると、ちょっとした言葉の裏側に本人の努力ではどうしようもできないような問題が浮かび上がってくることがあります。それはヤングケアラーであったり、家族の不仲、貧困、性被害、ルッキズム、、、例え当人たちは無自覚であったとしても、今の高校生が抱えるリアルな状況には多かれ少なかれ社会の問題が潜んでおり、それを舞台に乗せることで多くの方から共感していただくことができました。

その手法を確立した4年前、「見えない女子の悩み」という作品で初めて春の全国大会(北九州)に推薦され、翌年の「7月29日午前9時集合」にて初めて夏の全国大会(とうきょう総文2022)に出場すると、「フワフワに未熟」(かごしま総文2023)、そして「ちんぷんかんぷんぷん」(ぎふ総文2024)と3年連続で夏の全国大会(高校総文)に出場し、特に「フワフワに未熟」においては優秀賞を受賞して国立劇場での上演も果たすことが出来ました。

これからもこのスタイルでの作劇を続け、少しでも多くの方々に観ていただく機会を増やせれば幸いです。

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