教育研究グループ支援(研究成果報告)
研究の概要
英語に親しみ、進んでコミュニケーションを図ろうとする子の育成
1.研究主題の設定の理由
グローバル化が急速に進展し、異なる文化の共存や様々な地球規模の問題を解決するため、また、更に他国との経済競争の渦の中に巻き込まれていく中で、他国の人と積極的にコミュニケーションを図る人材の育成が求められていることは必然である。
折しも国際空港「羽田」が開港し、以前より「人・もの・技術」世界に送り出している大田区においても「国際都市おおた」として外国人からも親しまれるまちづくりを目指している。
このような状況の中で、今年度から、新学習指導要領が完全実施され、5,6年生の外国語活動が週1時間実施となった。ねらいは、「外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う。」事である。
本校の児童は、素直で落ち着いた学校生活を送っているものの、自分の感情や思いを表現したり、友達の思いを受け止めたり、他者とのコミュニケーションが十分でない。という実態が見られる。そこで、これから求められている児童像、これから期待される人物像からも、外国語活動を通して、「英語に親しみ、コミュニケーションを図ろうとする児童の育成」に取り組み、自ら課題に向けて自分を積極的に表現出来る児童を目指す事とした。また、そのためには、活動を展開するに当たり、学習の初期の段階より、英語を用いる必然性のある状況を設定し、その中で「伝えたい」という気持ちを持たせ、学習したことや場面に応じて、適切な表現を用いて自ら発信する「プロジェクト活動」を取り入れることとした。
2.単元名
外国の人たちに日本の昔遊びを紹介しよう
3.単元の目標
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海外の方に伝えることを意識して、自己紹介や遊びを紹介する。
(コミュニケーションの力)
-
紹介に使う英語表現を知り、積極的に使おうとする。
(言語・文化に関する気づき・理解)(関心・意欲・態度)
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交流を通して外国の文化との相違点や言葉の通じる喜びを感じる。
(言語・文化に関する気づき・理解)
4.単元構想(全9時間)
時・次 |
学習活動 | 教材など |
指導者 |
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【1】 (1時間) |
世界の国について知ろう
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英語ノート1(PC)
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担任 |
【2】 (1時間) |
世界青年の船で派遣されてくる方との交流について聞いたり、昔遊びを紹介する内容について説明を聞いたりする。
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担任 |
【3】 (5時間) |
紹介の仕方を考えて計画を立て、練習しよう
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【4】 (2時間) |
日本の昔遊びを紹介しよう
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5.児童の実態および単元について
児童は4月に数字の英語表現を学習し、その後ハローソングやチャンツ、ゲームを楽しんで意欲的に取り組んでいる。英語に対する抵抗が少なく、イリゴイングリッシュのあいさつを自宅で練習して覚えてきたり、休み時間に使おうとしたりするなど、英語に対する興味関心が高く積極的に言ってみようとする姿が見られる。
一方、英語を取り扱う時間はゲームや歌中心の楽しいだけの時間と考えている児童も多く、文化の違いを感じ取ったり、英語を使って相手とコミュニケーションをとったりするという経験は少ない。
本単元は区で行っている「世界青年の船で派遣されている海外の人との交流会」の委託を受けて本校で行うことになった交流会を総合的な学習の時間の国際交流の内容の一環として扱うことにしたものである。「外国の人たちに日本の昔遊びを紹介しよう」という単元を設定し、英語を使って日本で伝わっている昔の遊びを紹介する。交流会では、簡単な自己紹介をした後に、昔遊びを紹介し、実際に外国の方と紹介した昔遊びを行ってみる。遊んでいる時には、覚えたはげましの言葉やほめ言葉を使う。交流するにあたっては、事前に児童を6グループに分け、グループごとに1つ伝える昔遊びを決めさせ、準備させる。
児童はすでに2年生の時に1年生への昔遊びの紹介を経験をしている。活動では習得している英語を使うだけではなく、交流するときに必要だと思う英語を自分で調べて発音を教わり、それを繰り返し練習し、使う。実際に自分が使いたいと思った英語を使ってコミュニケーションをとることで言葉が通じる楽しさを感じさせたい。また、外国の人方との交流会を行うことで文化の違いにも触れさせる。外国からやってくる方達に日本の遊びを伝えるというめあてのもと、英語を使ってのコミュニケーションを楽しむ活動を目指す。
6.主題に迫るための手立て
「英語に親しむ」ための手立て
【1】イリゴイングリッシュ(全学年共通のフレーズ)の活用。
はじまりと終わりのあいさつを教室掲示したり、数字や曜日などのカードを校内掲示したりすることで、いつでも英語に触れられるようにした。既習の英語表現を休み時間や帰りの会などで使ってみることで、自然と英語を話すことに慣れさせる。
【2】様々な国の言葉に触れたり、文化を知る活動を取り入れたりする。
英語だけではなく、世界のあいさつを知るなど様々な国の言葉を扱った。実際に外国の方から様々な国のお話を聞いたりすることで、異国の文化に興味をもたせる。
進んでコミュニケーションを図ろうとするための手立て
【1】実際に海外の方と接する機会をつくる。
内閣府青年国際交流事業から外国の方を派遣してもらうことで自然と英語を使わなくてはならない状況を作り、相手を意識してコミュニケーションを行う場を設定する。
【2】過去の活動を利用することで、見通しをもちやすくさせる。
児童は2年生の時に、生活科で1年生にわかるように工夫して昔遊びを教える活動を行っている。1年生に伝えるための手立てを思い出させることで、今度は外国の人に伝えるための活動に見通しを持たせる。
【3】活動のめあてを明確にする。
実際に海外からのお客さんに日本の文化を伝える、という目標のもと活動に取り組ませる。
7.本時の活動(9時間)
【1】ねらい
- 覚えた英語を積極的に使おうとする。(関心・意欲・態度)
- 海外の方に伝えることを意識して、自己紹介や遊びを紹介したりする。(コミュニケーション力)
- 交流を通して外国の文化との違いやや言葉の通じる喜びを感じとることができる。(言語や文化に関する気づき)展開
学習活動 |
教師の支援 |
教材・表現 評価(◆) |
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時の課題を掴む。
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【2】日本の遊びを紹介する。
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Hello!
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【3】単元全体の振り返りをする<
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◆交流を通して外国の文化との違いに気づく。 |
8.成果と課題
成果
- 活動の必然性をもたせたため、児童が外国の方に積極的にコミュニケーションをとろうとする姿が見られた。
- プロジェクト型の英語活動をすることで、児童はめあてをもちながら意欲的に活動することが出来た。
- 普段おとなしい児童や、学力が十分でなく個別指導が必要な児童などが生き生きと活動する姿が見られた。
課題
- 1年生から6年生までのプロジェクト活動の系統性を整理していく必要がある。
- 英語を日常の生活の中で意識して取り入れていくために時間の設定と教員の共通理解が必要である。
- 全学年プロジェクト活動で使用した使用表現・単語等を洗い出し、一覧表にすることでイリゴイングリッシュの見直しを行う。