教育研究グループ支援(研究成果報告)
研究の概要
特別支援学校のセンター的機能や特別支援教育コーディネーター論について
2011年度は3回の研究会を行い、昨年度に引き続き「特別支援学校のセンター的機能や特別支援学校における特別支援教育コーディネーターの役割」「特別支援教育コーディネーターの次世代育成」等について研究会参加者による討議を行った。特に特別支援教育コーディネーターの経験が少ない参加者にとっては、自身の研修的意味合いも大きかった。
レポート報告(話題提供)を受け、各特別支援学校のセンター的機能やコーディネーターの活動内容のとりくみや支援エリア内(自治体等)の情報交換も活発に行われた。
1.2011年度 第1回
【話題提供】
「コーディネーターの次世代育成を考える―2代目コーディネーター奮闘記―」(東京都立白鷺特別支援学校 今本和宏氏)
- 昨年度までの主な取組内容をいかに引き継ぎ、特別支援教育コーディネーター2代目としての実践をどうするかを日々悩んでいる。
- 引き継をして3ヶ月が経過しての現状。
- 特別支援学校の校内における「コーディネーター文化」とは、いかなるものか?
- 地域における「コーディネーター文化」とは何か?地域から求められているものは何か?
- 「コーディネーター文化」が成立するための条件とは何か?
【参加者の感想】
- 「生の声!」という感じで、これから特別支援教育コーディネーターを目指そうという自分にとっては、とても興味深い内容であった。
- 次世代育成は大きなテーマである。次にどう、引き継いでいくのかを改めて考えるきっかけになった。
- 特別支援教育コーディネーターの「カリスマ」の時代から、誰でもできる、チームで取組時代に変えていくことが重要である。
2.2011年度 第2回
【話題提供】
「特別支援学校コーディネーターに求められている役割と機能について」(東京都立江東特別支援学校 太田英樹氏)
- 特別支援学校の特別支援教育コーディネーターによる相談支援の実際について
- 小中学校教員が直面している課題や特別支援学校のセンター的機能に対する期待について明らかにする。
- 地域の関係諸機関等の共通する問題意識や特別支援学校特別支援教育コーディネーターに期待する役割を明らかにする。
- 小中学校の状況や児童生徒の実態を踏まえた特別支援学校特別支援教育コーディネーターにしかできない相談支援について検討する。
- 小中学校の状況や児童生徒の実態を踏まえた特別支援学校特別支援教育コーディネーターにしかできない相談支援について検討する。
3.2011年度 第3回
【話題提供】
「特別支援学校の“センター的機能”がこれから進むべき道とは?」(東京都立中野特別支援学校 田中雅子)
- 学校全体で組織的に「センター的機能」に取り組むために必要なこととは?
- 「センター的機能」をより充実させるためには何が必要か、まず第1に「学校全体として組織的に取り組む」ことである。具体的には、学校経営計画に位置づけ、支援校を含めた外部評価と内部評価を行うこと、実施実績等を職員会議や研修会の機会をとらえて全体に報告し、全職員の共通認識をはかること、「センター的機能」の担当者は、専任、兼任を含めて複数配置し、担当者以外の者も支援に携わり(校内支援の有効活用)、支援の当事者意識を持つことなどがあげられる。
- 特別支援学校においては、それぞれの地域の実態を適切に把握して、必要とされるセンターとしての機能の充実を図っていくことが大切である。また、特別支援学校が、地域における特別支援教育のセンターとしての役割を果たしていくためには、各学校において、教師同士の連携協力はもとより、校務分掌や校内組織を工夫するなどして、校内体制を整備し、学校として組織的に取り組むことが必要である。
- 特別支援教育政策の中で広まる特別支援学校のセンター的機能のあり方を根本から問い直し、「外注」(通常の学校からの要請)に応える「請負」型直接支援としての地域支援を脱却し、学校間の対等性の原則にたったネットワークづくりを提唱するものである。
- 「フェード・アウト戦略」、すなわち通常の学校自体の特別支援教育に関わる専門性を向上させ「支援の必要性を、徐々に小さくする方向が企図される」。通常の学校からの「外注」への「請負」支援は、特別支援教育が提唱されたことによる過渡的課題として現時点ではやむを得ないことかもしれないが、物理的に限界を超えており、速やかに解消されることが望まれる。しかしその先には、ネットワークによるインクルーシブな地域づくりが展望されているのである。新たな教育課題に立ち向かうとき、学校間の新たな協働と相互支援のあり方が問われてこよう。
【参加者の感想】
- コーディネーターの資質、専門性という観点には、それぞれの思い描くものがあり、参考になった。