公益社団法人 東京都教職員互助会

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教育研究グループ支援(研究成果報告)

府中第三小学校校内研究会

研究テーマ

研究期間:平成28年4月1日 から 平成30年3月31日 まで

研究結果の概要

平成28年度からの校内研究を構想するにあたり、現状の課題を分析し、「合理的配慮について体制を整える必要性」、「配慮を要する児童が通常学級で増加→ユニバーサルデザインの授業(分かる授業)への転換」「自己肯定感やコミュニケーション能力の向上→基礎学力の定着」等の差し迫った課題に直面していることが分かった。
1年目の研究は、多くの実践を見ること、やってみること、その情報を共有すること、実践を蓄積していくことを重点とした。しかし、実践を重ねていくと、実践の焦点が多様化した。そこで、児童が主体的に取り組む授業、「分かる授業」を構築することに焦点を当て、実践を重ねることにした。そして、その成果として、児童がコミュニケーション能力や自己肯定感を身に付けていくだろうという仮説を立て、大きく「分かる授業」の授業実践と学校・学級の環境整備の2つの視点を定め、研究を進めることとした。

【分かる授業の実践~授業のユニバーサルデザインの基本的な考え方~】

学習を進める上で、発達障害のある児童には「必要」であり,どの児童にも「あると便利」な工夫を増やしていくことを基本的な考え方とした。また、本校では、児童や学校の実態から、多くのユニバーサルデザインの視点のうち、①視覚化②展開の構造化③ユニット化④焦点化⑤共有化⑥個別的な配慮⑦ICTの活用の7つの視点に重点を置き、教科・領域の特性、学年・ブロックごとの発達段階に応じて2年間で研究授業6本、実証授業3本の「分かる授業」の実践を進めていくこととした。

【学級・学校の環境整備】

本校では、学級満足度や学校生活意欲の分布から、学習へのレディネスや個別的な配慮が必要な児童が分かる「Q-Uテスト」による人的環境分析を6月と2月に実施している。その結果を、学年で共通理解を図り、具体的な指導の手立てや方向性を共通認識して、それ以降の指導に役立てている。
また、ユニバーサルデザインの視点での学校・教室環境を整えた。教室前面の掲示板に貼る掲示物、貼る位置を全クラスで統一し、どの教室でも同じ指導ができるようにしたり、前面横の掲示物を必要最低限にしたりすることで、黒板に集中できるように工夫した。これらの実践は、使い方・効果・注意事項などとともに、学校共有フォルダの中に保存されており、誰もが学級の実態に合わせて活用できるようにしている。

【成果と課題】
《成果》
  1. 授業や環境整備をとおして実践を積み重ねてきた結果、個に対する指導や配慮の仕方など、よりきめ細やかな学習活動を実践していこうとする教員の意識の高まりがみられた。
  2. ユニバーサルデザインの指導方法を取り入れていくことで、児童が興味・関心を持続し、主体的に学習活動に取り組めるようになってきた。
  3. 学校環境を整えたり、指導方法を統一したり、教材を共有化することで、児童に対する指導の一貫性が保たれ、基礎学力の定着が見られるようになってきた。
《課題》
  1. 困難さを感じている児童は増加傾向にあり、また多様化しているため、学校組織としての体制を更に整えていく必要がある。
  2. 多様化する児童の実態やニーズに合わせて、人的、物的環境をより整えていく必要がある。

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