教育研究グループ支援(研究成果報告)
ICT教育の情報化グループ
研究テーマ
- プログラミング教育がどのように児童の思考力を高めることに寄与するのか
研究期間:平成29年4月6日 から 平成30年3月23日 まで
研究結果の概要
1 ねらい
新学習指導要領の総則において、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けさせるための学習活動」を各教科の特質に応じて計画的に実施をするとある。本研究では、新学習指導要領移行期間に先駆けてプログラミング教育がどのように児童の思考力育成に寄与するのかを研究したものである。
2 研究実践
子どもたちはプログラミングを体験しながら、試行錯誤を繰り返してくことができる。これまでのタブレット学習の実践の中でも、子どもたちが、難題にぶつかり、話し合い、失敗し、再度考え、という試行錯誤のプロセスが頻繁に見られた。そこで、本研究では、ビジュアル・プログラミングやロボット・プログラミングの学習を通して、「プログラミング学習」と「試行錯誤」に「対話」という要素を大切にしていきたいと考えている。子どもたちに「対話」を生み出す具体的な手立てとして次のようなものを取り組ませてきた。
- 作戦会議時間の確保
- 振り返りミニノート(作戦名、役割分担、目標、反省を毎回書く)
- タブレット端末、ロボットを触らない時間を意図的に設定する。
デジタルである「プログラミング」と、アナログである「対話」を融合させることで、新しい時代の価値ある教育を提供できると考えている。
3 成果と課題
上記のような教師からの具体的な手立てを取ることで、プログラミング教育は「主体的で対話的で深い学び」につながるものであると確信した。これまでの学習形態では、教師が黒板の前で児童に座学で一斉指導するのが定番のスタイルであったが、道筋を立てられるように整理することで、プログラミング学習では自由に子どもたちが活動でき、自分たちで協議を行い、一つの目的(ミッション)を達成しようとするものであった。さらには、課題も自分たちでより難しいものへと設定し、それぞれにあった課題を自分たちで選択していくという探求的な学びへとつながっていた。また、学力テスト等で無答率の減少につながっていった価値のある取り組みだと考える。
課題として、以下の3点が挙げられる。①理科や総合的な学習の時間だけでなく、各教科の年間指導計画にプログラミング教育をどのように位置付けていくのか考える必要がある。②どの教員でもプログラミング教育を指導できるような研修体制が必要である。③ロボット・プログラミングやタブレットPCは高価なものであり、どの学校でも配備できるように検討していく必要がある。