公益社団法人 東京都教職員互助会

文字サイズ変更
トップページ > 教育振興事業 > 平成30年度 助成グループ 研究テーマ > 聴覚障害幼児教育研究会

教育研究グループ支援(研究成果報告)

聴覚障害幼児教育研究会

研究テーマ

研究期間:平成30年4月1日 から 平成31年3月31日まで

研究結果の概要

Ⅰ 問題の所在と目的

社会性は、他者との関係構築の基盤になる協調性に加え、⽬標達成に向けた忍耐⼒や探求⼼等を含めた幅広い概念として捉えられる。新幼稚部教育要領では(⽂部科学省,2018)、「学びに向かう⼒、⼈間性等」として重視される。
我が国の聴覚障害幼児の社会性については、中野(1972)による性格特性調査において、「顕⽰性」「⾃制⼒⽋如」「依存性」「攻撃性」に課題を⽰す児が20%〜30%いることが報告されている。このような社会性の問題については、⽣下時からの聴覚障害による聴覚・⾔語的な制約を背景とした、コミュニケーションの不⼗分さや、友⼈関係の狭さ、社会的経験の不⾜等、環境要因の影響が指摘される(澤,1999)。円滑で活発なコミュニケーション関係の形成に向けて、近年では、多くの特別⽀援学校(聴覚障害)で併⽤法(聴覚⼝話法と⼿話等、視覚的⼿段の併⽤)による教育が⾏われている(我妻,2008)。しかし、併⽤法による円滑なコミュニケーション関係形成と社会性との関連性については不明な点が多く、家庭環境や補聴⼿段等、様々な環境要因を含めた検討が求められる(都築,2007)。
また、Calderon,R.&Greenberg,M.(2015)では、これまでの海外の研究を概観し、社会性の向上には、コミュニケーション⾯の充実に加え、社会性に着⽬した教育プログラムの重要性を指摘する。聴覚障害幼児の社会性の向上には、円滑で確実なコミュニケーションの中で、他者と⼼を通わせながら、その年齢に応じた社会的経験を積み重ねていけるような環境構成等、指導の⼯夫が重要だといえる。そこで、本研究では、聴覚障害幼児が幼稚部⽣活の中で起こる多様な体験の中で、どのように社会性の育ちにつながる経験をしているか、保育記録をもとに事例的に検討することを⽬的とした。併せて、質問紙による発達評価を⽤いて、聴覚障害幼児の社会性の発達状況を検討した。

このページのトップへ