公益社団法人 東京都教職員互助会

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教育研究グループ支援(研究成果報告)

障害児・者の美術活動の在り方研究会

研究テーマ

研究期間:令和2年4月1日 から 令和3年3月31日まで

研究結果の概要

障害児・者の美術活動の在り方研究会は、優れた美術的才能のある、または美術活動に強い興味・関心のある都立特別支援学校等の生徒及び卒業生を募集し、美術活動に没頭できるワークショップ「自由な美術活動空間」を提供している。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、都立永福学園の体育館という広い会場を使用し、1回当たりの参加者を15人程度に限定して募集し、実施した。さらに、短時間に参加者が集中しないよう、5時間(午前11時から午後4時まで)という長時間会場を開放し、参加者は、都合の良い時刻に来校し、帰宅できるようにした。このような取組を、令和2年10月31日(土)と11月14日(土)に行った。参加申込者は、1回目13人、2回目18人であった。
本研究会は、障害のある生徒等に対し、可能な限り自由に美術活動に没頭できるよう空間を作り、参加者の美術的才能を制限なく発揮できるようにすることを趣旨としている。このため、入手できる限りの画材を準備し、それを全て見える形で並べ、参加者が自由に手に取り、ふんだんに使えるようにしている。画材の種類や量について、昨年度よりも拡大を図っている。しかも、今年度、密を避けるという意味もあったが、参加者が満足できるまで、美術活動に専念できるよう、昨年度3時間であった時間設定を5時間にまで拡大した。
このように条件設定の自由度を増し、そのことを参加者募集の案内に示したことにより、令和2年度は、昨年度に比べて参加者の居住地が広域になった。可能な限り、制約されず美術活動に没頭したい生徒等や没頭させたい保護者が多数いることを実感した。
令和元年度からの参加者は、参加を重ねることで作品が変化しており、「表現」するという行為自体に、「表現」そのものを変化させる力があることを目の当たりにした。このことから本事業は、平素、障害のある生徒等が、「表現」できずに内在化させてしまっているものを表出する機会となっていると言える。
また、これらの活動を基に、令和3年2月20日(土)に学識経験者等を招いたシンポジウムをオンラインで開催した。シンポジストからは、このような活動の意義や、このような活動が、美術教育の在り方を変化させる可能性があるなど、示唆に富んだ発言が多く聞くことができた。

その他特記事項

本研究会の研究は、都教育委員会の「文化プログラム・学校連携事業」指定を受けている。令和3年度においても指定を受けたことから、継続して実施する。

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