災害発生時のこころのケア その4
東日本大震災・教職員のメンタルヘルス支援(第3班)
東京都教職員総合健康センター 臨床心理士 福山 渉
私たちは、今回第3班として4月19日から21日の日程で、気仙沼市及び南三陸町を訪れました。
沿岸部の被害状況などはこれまでご報告してきたような、瓦礫の山はいまだ残るものの、徐々に自衛隊や住民それぞれに撤去を始める様子がいくつか見られるようになり、かつての風光明媚な景色への復旧が始められようとしていました。
教職員の方々は、生活の立て直しも徐々に見通しが立つようになり、新しい住居を見つけ、家財道具を取り揃え、家族が落ち着いて集い、休めるようになったとのことでした。
一方、学校では被災やご家族の状況がそれぞれ異なる中、互いに普段の会話にも気を遣ったり、逆にご家庭の状況が厳しい同僚のために、業務や役職を敢えて引き受けるなど、当面解決できそうにない問題もあるようです。
そうした中でも、教職員の方々に共通しているのは、これから迎え入れる子どもたちへの心配りでした。先生方は避難所を巡回し、学習会を開いたり、校内の避難所の子どもたちの自習を指導したりと、学校再開を間近に控え、精力的に業務に当たっているようです。他県からは児童生徒のこころのケアの専門研修も提供され、今後予想される子どもたちの内面の変化、疲れや不安などの情緒面、学級など子ども集団への配慮のあり方に思いをめぐらせていらっしゃいました。
被災によりやむなく転校する子が新しい学校になじめるだろうかと案じる先生、また、被災のない内陸に避難した子どもたちが学級にとけ込めるようにと配慮したクラスづくりを心がける先生などのお話からは、教師という職業への使命感や熱い想いが感じられました。
今回の訪問も寒暖の差は激しく、雪の積もる山々も見かけることになりましたが、里山に芽吹く若葉や、三分咲きの桜を眺めながら、ポツリと述べられた先生の言葉を最後に紹介します。
「寒い土地だから、自然と我慢強く、こんな状況だからこそ頑張ろうと皆が思っている。だからこそ疲れても弱音を吐かない。でも、花が咲くのを見てふっと心が安らいで、そこからまた頑張ろうという想いが自然とわいてくるんですよ、花が咲き出す、この季節はいいですね。」