公益社団法人 東京都教職員互助会

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外部人材活用事例の紹介

個別学習支援教室での指導

あきしまの学校~あかるく きれいで 信頼と 学びの満足 のある学校
昭島市立光華小学校 児童数473名(17学級) 教職員数 25名 校長 濱島 世津子先生 ボランティアの活動《個別学習支援》

いつもゆっくりていねいに字を書くR子さん。サポート教室の始めの頃は新出漢字の読みや書き順などドリルやノートに書くと一字で一時間が終わってしまいそうでした。「書」の字を何度も練習し、少し早く書けるようになってきました。算数はできるかぎり具体物を使って学習しています。

F子さんは教室でもサポート教室でも大変おとなしい子で、分からないことがあった時も周りが気付かないとそのままになりそうです。算数の等分の学習では折紙や長方形や丸等形の違う紙を切って等分を理解できました。三角形・四角形は形の書き方で躓いていました。順を追って何度も書く練習をして正しく書けるようになりました。着実に力をつけています。

【ボランティア指導者Eさん】
3人の児童とプリントやドリルを使って 学習しています。3人とも2年生です。それぞれの児童の、学習における苦手なところと個性に合わせてお手伝いできるように心がけています。学習の始まりに数のカードを用意して10の補数や数字並べ等のゲームをして計算がスムースにできるように取り組んでいます。取り出し学習ですが、週間に、一時間なので間があいてしまいなかなか効果が上がらないことが課題です。一時間の中で、学習することがたくさんありますが、チャイムがなるまでよく頑張っている子どもたちです。できるようになりたい気持ちが伝わってきます。

Y子さんは休み時間にダンゴムシを捕まえ、学習用具と一緒にサポート教室に持ってきました。逃げないように入れ物に入れて、ようやく安心して学習が始まります。また、ある時は折り紙を持ってきて「これをつなげて洋服を作るから」と、作り始めるので、勉強が終わってからの約束をしました。それ以降毎回何かしら持ってやってきます。「かけざん」では始めの5の段で意味がよくわかっていませんでした。5個ずつのいくつ分を自分から絵に描き何問も絵に描いているうちに5個ずつの意味を理解しました。

【担任の一言】
一対一での指導でその子のつまずきの原因をよく見てくれます。週に一度では間がありすぎ、せめて週に2度の指導を・・と思っています。

外部人材活用事例 写真

2年Sちゃんは主に算数を見ています。今教室で学習していることでやりきれなかったところや、理解が不足しているところを手助けしています。基礎的な計算力は身についていますが、計算速度が遅く文章題が苦手、図形等がよく理解できていないなどの課題があります。でも明るくやる気満々です。今は(なぞなぞ)に興味があります。折り紙作品をプレゼントしてくれたりするかわいい子です。

【担任の一言】
学習がゆっくりで集中力が続かない子を見ていただいています。算数のドリル等先行して見てもらい、授業に余裕を持って臨ませたことで意欲的になったケースもありました。

2年生Mさん。《漢字》升目に関係なくいい加減に書きなぐっているので、一年生の字から復習しています。《計算》一年生の計算も指を使ってしているので、10の合成・分解をわらべ歌やタイルで指導しましたが、なかなか身につきません。二学期からは指を使ってよいことにすると二年生の計算もできるようになりました。「これはやりたくない」とよく言います。「できたらゲームをしよう」と2回くらいゲームタイムを入れて気分転換しながら学習しています。彼女が一番はりきっている時間です。

3年生A子さん。主に算数です。今学習していることで授業時間にできなかったり、理解が不足しているところを手助けしています。基本的なことは身についていますが、計算が遅く文章題が苦手です。文章題は大切な所に線をひかせ、キーワードを見つけさせています。落ち着いて学習する子です。計算は確実にすることが大切なので、あわてさせずに見守っています。家族の話や奥多摩に住んでいるおばあちゃんのことなどよく話してくれます。時間ができたときはお手玉など昔遊びをして気分転換しています。

【ボランティア指導者N先生】
昨年は6年生の女子を指導しましたが、体調が悪かったりわからなかったりすると黙って何も言わなくなり、気まずい空気が流れることもありました。「ああ、一斉授業だと他の子を指したりして互いに一息つけるのに。一対一というのは難しいと感じたこともありました。今年は低中学年なので、そういうことはありません。一対一だとその子のつまずきはよくわかりますが、個別指導のよさと集団指導の良さを組み合わせることが大切だと実感しています。

【担任の一言】
「今日は3けた÷2ケタの計算ができるように頑張っておいで」「うん」。次の日にそっと手を挙げるTくん。黒板に正しい計算をし、皆から「同じです」と言われ、うれしそうに席についた。ゆっくり・じっくりが喜びと自信になっている。

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【手立て1・話したいことを聞く姿勢で】
《自分の話したいことを話してから学習を始めることの多いTくん》
本人の話をうなずくだけでも、じっくり聞いてあげると「勉強時間が無くなる」などと言って自分からドリルや教科書を開くことがよくある。話を聞いてもらえることが心を満たし落ち着いた気分のさせるのだろう。その状態が少なからず学習活動にもよい効果をもたらしているようだ。

【カウンセラー】
集団の中では、集中できない子どもさんなどにとって個別指導のこのようなシステムがあることは、心の安定という意味でも大変良いと思います。

【手立て2・興味をもったことを深める】
《集団学習を苦手とする4年Mくん》
集団学習が苦手なMくんは、あることに興味を持つとそのことに一定の時間こだわる傾向がある。そのため教室の中では授業に参加できないことが多い。
例・・本人「箱庭をつくりたい」
→指導(社会科教科書、玉川上水の挿絵を活用したジオラマ制作に取り組ませる)
ジオラマ制作をしながら当時の苦労を想像し、玉川上水についてわかったことを文章にまとめるという活動につなげた。興味を発展教材として、楽しく学習できるようにサポートしている。

【ボランティア指導者K先生】
子どもとじっくり向き合うように心掛けています。褒められたいけれど褒められることが少ない子どもたちです。個性を見つめています。

【手立て3・できない原因を見つけて直す】
《欠席がちで学習進度に遅れが目立ち学習意欲も低調になっている4年Hくん》
特に算数は繰り上がり・下がりの計算で大苦戦。原因はかけ算九九や、一位数のたし算・引き算の技能が身についていないことにあった。つまずきの原因を見つけて改善することで、基礎的な知識や技能が徐々に定着してきて、学習への意欲も少しずつわいてきた。

【校長より】
本校の「人材バンク・退職教職員等ボランティア事業」実施は、試行の年から数えてほぼ2年になります。「効果的な指導」「子どもにとって居場所のある教室」の二点を土台において、試行錯誤してきました。その中で、『良い指導者』『子どもと一対一で向き合っていただく』『サポート教室に行く子を送り出す温かい学級経営』この三つが成功のカギだと実感しています。成功とは、【子どもが自分に自信を持って学習に喜びを感じるようになること】です。様々な課題をもってサポート教室に来る子どもたちですから、短期での効果はのぞめませんが、本校ではよい指導者に恵まれ、2年を経た現在、少しずつ子どもの意欲の向上や明るい表情に成果を感じています。継続は力なりということを改めて思います。

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【手立て4・できた楽しさを味わわせる】
《少し難しい問題だと思うと「できない」と学習を投げだすことの多い4年Kくん》
「間違ってもいい。チャレンジすることが大事だ」と答えを出すまでの筋道を適時に助言し励ましている。テストの結果の○と×だけにとらわれていたことが、だんだん少なくなり、自分にはできないと思う問題にも取り組もうと言う気持ちがわきはじめてきた。「わかった」と言ううれしそうな声が少し出てきた。

【手立て5・やる気が出ない時の工夫】
《日によって学習の持続時間が大きく異なることが多い3年Rくん》
無理に学習を続行させようとすると、席を離れ、立ち歩いたり窓の外を見たりする。そんな時は、短時間オセロやトランプ、言葉遊びなどをしたりして一息いれている。ほんの少しの気分転換が、学習を再開させるきっかけになり、その後集中して取り組むことが少なくない。子どもの特性に対応したい。

【担任より】
私の学級からは一名の児童がサポート教室に通っています。教室の授業の進度に合わせて、主に算数の指導をお願いしています。一対一の指導は丁寧で、児童にとってもわかりやすいようです。またその場で褒めてもらうので自信を持って学習しています。毎回サポート教室での指導の内容を記録し、担任と連絡をとってくれるので、この記録は教師3年目の私にとっても指導法を学べる貴重なノートになっています。児童の観察法等もサポート教室の先生との面談で教えていただいています。

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