公益社団法人 東京都教職員互助会

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教育研究グループ支援(研究成果報告)

国語教育科学研究会

研究テーマ

研究期間:平成25年4月1日 から 平成26年3月31日まで

研究結果の概要

研究実践1 読書と読解の関連を図るための直観的に作品を読む学習指導

現行の教科書の多くは、読解の学習が終わると読書に繋げよう読書の教材を用意している。ところが、うまく続けて学習出来ない。読解から読書に繋げようとしても読書への興味が持てない、読解の読み方と読書の読み方が違うなどの原因がある。これを改善したい。
最初に該当学年でも読めて面白い作品を直観的に読み通す体験をさせる。直観的に読むという技能は、読書の読みであり文学的体験である。この文学的体験をさせ、読書に興味関心を高めて、単元と並行的に読書をさせる。次に読解単元を学習し読むカを高める。読解単元の後で再び読書単元に戻り、並行読書を生かし、読書を日常化しようという実践である。
この実践は、江戸川区立下鎌田西小学校の前田修郎指導教諭が行った。対象は3年生とし、教材選定から時間をかけて検討した。教材は、新見南吉作「赤いろうそく」に決まった。前田教諭は、自ら教材を打ち対象学年にふさわしい文字の大きさにしたり挿絵を加えたりした。自校と台東区立千束小学校で授業実践したが参観した先生方からも共感の声があった。

研究実践2 「やまなし」を読んで作品から受けたメッセージをまとめる学習指導

宮沢賢治の「やまなし」は「好きだが、難しい」先生方からこういう声がある。この難しさは、宮沢賢治という人物の生き方、考え方、言いたいことを先入観として先生方が持って しまっているところにある。この作品が「難しい」と言われる所以である。
教材研究の段階から、虚心坦懐、先入観を捨て、素直な気持ちで情景や心情を想像しながら読んでいくことが大事であると考えて実践した。さらに、宮沢賢治が言いたいことをとらえるのではなく、この作品から素直にメッセージを受け止め、それについて児童が自分はどう考えるかという単元展開で実践したことがたいへん良い基本的な研究実践となった。
この実践は、教材研究から着実に積み上げたものであり、杉並区立浜田山小学校の山口達郎教諭が6年生を対象に行い、参観した先生方や保護者からも賞賛の声があった。

研究実践3 意図と根拠を明確にして話すためのシミュレーション学習

音声言語の指導は、難しく感じる。特に高学年の指導をどのようにしたらいいのか。高学年を対象に、主体的に、効果的に、端的に技能を身に付けさせられる学習指導の開発として考えたのがこのシミュレーション学習である。
5年生を対象に、意図と根拠を明確にして話すことができるようにするシミュレーション学習である。人が言語技能を身に付ける過程をシミュレーションしたものである。人は言語事実に出会って、その言語技能の特徴や法則や役割について考える。次にはその法則を適応させてみる。そしてさらに法則を確かに認識していくという学習過程のシミュレーションである。地域性を生かして教材作りをし「清瀬のにんじん」という優れた教材と実践が残せた。
実践授業は、清瀬市立清瀬第十小学校の絲川佐知子主任教諭が5年生を対象に行った。参観した先生方から、素敵な教材、主体的な学習過程、分かりやすい技能の取り上げ方に賞賛があった。

【その他】

平成26年2月15日(土)台東区立千束小学校において「国語教室」という名称で研究成果を発表した。折から雪の降る日であったが、遠方より参会する方もあり、熱心な研究協議が出来た。

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