外部人材活用事例の紹介-外部人材活用の新たな取り組み-
大学生によるボランティア事業の実践
アドバイザー 桜庭 清徳
1.渋谷区立広尾中学校の例
学校のキャッチフレーズ
"夢空間"広尾中未来に輝く輝く広尾の子たち
大学生ボランティア活用事業その1
学校名 |
渋谷区立広尾中学校 |
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学校の規模 |
9学級 生徒数 263名 |
校長 |
永見 章 先生 |
●School Assistant Memberプラン
ねらい
大学生を活用した特色ある教育活動を推進することと、大学生に教育活動の体験や大学で学んでいる技術等を生かす場と機会を提供し、教職を目指す大学生等の教師としての資質及び能力を培う一助としているものです。
実践事例:国語科の場合
- 毎週火曜日 1~3時限 全学年対象
- 授業中の教師の補助として机間指導、ノート点検、小テストの採点、評価補助簿の整理、パソコンの入力ワークシートの作成など。
●SAMプランの生徒の反応
- 発表のアドバイスが参考になるので、次に生かしたいと思った。
- 授業中に回って来てアドバイスしてくれるので安心できる。
●SAMプランの成果等
- 少人数とはいえ、約20人いる学級では生徒一人一人の質問すべてに応えることができないが、大学生がいると目が届きやすく効果があります。
- 成績処理などの事務処理が早く、教師の事務作業の軽減にも繋がっています。
- 大学で学んだことと現場でのギャップを感じ、より実践的な動きができるようになってきました。
●大学生ボランティアからの一言
中学校でボランティアをすることにより生徒理解の難しさやいかにわかる授業をするか、教師のやりがいを感じることができました。また、教師の事務処理・生徒指導等を見て、大変な仕事だと思いました。
大学生ボランティア活用事業その2
●School Assistant Memberプラン
ねらい
大学生を活用した特色ある教育活動を推進することと、大学生に教育活動の体験や大学で学んでいる技術等を生かす場と機会を提供し、教職を目指す大学生等の教師としての資質及び能力を培う一助としているものです。
実践事例 英語科の場合
毎週火曜日 1~3時限 全学年対象
授業中の教師の補助として、適宜生徒の質問を受けたりして個別指導を行う、試験問題作成の手伝い、印刷物や補充教室の手伝い、ワークシートの作成など。
●SAMプランの生徒・保護者の反応
生徒
- 普段使っている問題集などの例文とは違って、親しみやすい文や写真・イラストがあるので、「やってみよう」という気持ちになれる。
- 先生が授業を進めているときに回って来てアドバイスをしてくれるので、英語が苦手な自分にも分かりやすい。
- 塾の宿題の分からないところなどを休み時間に気軽に質問できるので、とても嬉しい。
保護者
- 日頃は直接指導があまりないため、保護者への認知度は低い。しかし、長期休業中の補充教室では、特に学習に遅れがちな生徒に対し、親身な指導を行ってくれるので、とても助かっています、と感謝されています。
●SAMプランの成果等
- 生徒の苦手意識を軽減することができました。
- 生徒が声をかけやすく、その場で解決できることもあるので授業も進め易い。
- 少人数指導でも、生徒一人一人の質問すべてに応えることができないが、大学生がいると目が届きやすく効果が大きい。
●大学生ボランティアからの一言
先生方の授業を見学させていただくことで、どのような工夫をしているかを見ることができました。
また、授業時間以外にも先生方が生徒によく声をかけたり、褒めたりしている姿を見ることで、生徒指導の意義を再確認することができました。
2.足立区立加賀中学校の例
学校のキャッチフレーズ
どんな生徒も「見放さない・見過ごさない・見逃さない」
大学生ボランティア活用事業その1
学校名 |
足立区立加賀中学校 |
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学校の規模 |
7学級 生徒数 227名 |
校長 |
渡辺 弘行先生 |
●授業支援員事業
ねらい
- 授業や放課後の補充学習などで学習支援を行います。活動方法や時間帯などでは学校の活用の仕方で自由に決めています。
実践事例(補充教室)
- 補充教室は、火曜、木曜、金曜日の放課後16:00~17:00に補充教室を行っています。学習内容は自習教室のように分からない問題などを各自が問題などを持ってきて行います。
●授業支援員事業の生徒・保護者の反応
- 分からないところが分かるようになってよかった。
- 授業と違って自由な雰囲気で勉強ができて楽しい。
- 学習の機会が増えてありがたいです。
●授業の支援員事業の成果等
日常参加者は数名程度であるが、その生徒は継続して参加しているので活動は定着しています。11月頃から3年生が入試に向けて参加者が増加することが予想されています。この事業については、学習習慣の定着に結びついていることが一つの成果であるといえます。
●大学生ボランティアからの一言
授業支援員は教育現場からの状況を知りたいという思いから参加させていただきました。実際に活動を行っていると、生徒のつまずきやすいポイントに気づいたり、生徒が分かったときに見せる嬉しそうな表情を目にすることができてとても充実した時間を過ごすことができています。
補充学習に参加してくれる生徒が増えてくると互いに学び合いの場面があり、より充実した活動になると思います。
大学生ボランティア活用事業その2
●生活指導員事業
ねらい
生活指導の困難な学校として、生活指導に関する業務や校内巡回を主に行います。
実践事例(生活指導)
- 不登校傾向の生徒などの個別指導の対応や不登校生徒の家庭訪問などに担任やスクールカウンセラーと同行するなど、不登校生徒の対応を行っていることが多くあります。日常の業務としては、給食指導を一緒に行い、給食を担任と一緒に教室で食べています。また、清掃指導や校内の巡回なども行っています。
●活指導員事業の生徒・保護者の反応
- 大勢の指導体制(教員・大学生)で、生徒一人一人に適切な対応をしてもらえます。
- 生徒は、大学生も教員と同様の姿勢で心を開いて指導を受け止めています。
- 生徒は、大学生と年齢も近いので、気軽に話ができるようです。
●生活指導員の事業の成果等
教員と大学生の複数体制で授業を行っていることが、大きな成果となって表れています。2年ほど前は教室に入らず授業が成り立たない状況もあったと聞いていまます。しかし、現在はとても静かに授業が行われています。チャイム着席も早く、落ち着いいた状況になっているのは生活指導員が、常に校内や教室にいてくれることが大きいと思っています。
●大学生ボランティアからの一言
生活指導員をして、様々な先生方の考えや対応方法が参考になっています。生徒との接し方、生活指導をどのように行うべきか一定の基準の下に、生徒個々に対応していく難しさを実感しています。その対応の多くは先生方のサポートや適切な助言・指導が大きく、生活指導員として頑張ることができているのが現状です。
やりがいのあったことは、ほとんど学校に来られなかった生徒が、3年生の入試を意識し、10月から個別指導を受けに来るようになりました。その時、学習指導だけでなく志願書や自己PRカード指導、面接練習などを行い希望する高校に、見事に合格してくれたことがとても喜びとして心に残っています。