教育研究グループ支援(研究成果報告) 詳細
梅一言語力委員会 第4学年 国語科学習指導案
平成24年11月20日(火)
第4学年2組 男子10名 女子16名
授業者 松坂仁
研究主題
- 豊かに感じ、考え、表現できる児童の育成
中学年分科会テーマ
- 自分の感じたことを、相手に伝わりやすく表現する児童を育てる
1.単元名
日本語のひびきにふれる ~俳句に親しむ~
2.単元設定の理由
これまでに、『小倉百人一首』で遊ぶなどの経験をもつ児童も少なくないであろうが、国語の学習としては第3学年で『俳句に親しむ』、第4学年で『短歌の世界』と、初めて文語調の文章にふれる。文学史上の成立順では短歌が先であり、第3学年時に俳句を学習しているが、内容の難易度を考えて、俳句をより親しむべく本単元を設定した。
子供たちが日常使っている言葉とは異なり、初めは戸惑いを見せる場面もあると思うが、「五・七・五」の言葉のリズムは、そのような戸惑いを超えて、子供たちを作品の世界に導くのでは、と考える。まずは、繰り返し音読することで、そのリズムや響きをたっぷりと味わわせたい。そのうえで、情景や季節感をイメージさせていく。
俳句づくりを取り上げているが、本単元では、「五・七・五」の音数に当てはめて遊ぶ程度でもよいと考えている。その事によって、昔から伝わっている俳句が、少しでも身近なものに感じられ、関心をもって自分で俳句を作り、生き生きとした活動を行うことができると考える。また、基礎的な言語能力の育成を大事にしながら、俳句の発表という音声言語活動を行うことで、本校の研究主題に迫ることができるのではと考えている。
3.単元の目標
【1】単元の目標
- 情景をイメージしたり、リズムを感じ取ったりしながら音読したり暗唱したりすることができる。(読むこと)
- 自分が見たり思ったりしたことを、「五・七・五」の形式を意識して、俳句をつくることができる。(書くこと)
- 友達の俳句を聞いたり情景を想像しあったりする活動を通して、自分の思いを伝え合うことができる。(話すこと・聞くこと)
【2】評価規準
ア.国語への関心・ 意欲・態度 |
五・七・五の音数に当てはめて俳句をつくることにより、俳句を身近なものに感じることができる。 |
---|---|
イ.話すこと・聞くこと | 自分がつくった俳句と友達がつくった俳句を交流することで、適切に発表することができる。 |
ウ.書くこと | 俳句の特徴を理解したうえで俳句をつくることができる。 |
エ.読むこと | 俳句の特徴を知り、音読することができる。 つくった俳句を適切に発表することができる。 |
オ.言語についての 知識・理解・技能 |
易しい文語調の俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりする。 |
4.学習指導要領との対応
【A】話すこと・聞くこと
指導事項
(1)エ 話の中心に気を付けて聞き、質問をしたり感想を述べたりすること。
【B】書くこと
指導事項
(1)ウ 書こうとすることの中心を明確にし、目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。
【C】読むこと
指導事項
(1)ア 内容の中心や場面の様子がよくわかるように音読すること。
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項
伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 易しい文語調の短歌や俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
5.児童の実態
明るく活発な児童が多く、話を聞くときには、聞く姿勢はできている。しかし、そのことをしっかりと理解して行動したり、一人一人の考えを全体で発表する場面では、自分の考えを積極的に発言したりする児童は少ない。
今回の授業では、研究主題やねらいとともに、自分自身の思いや考えを、学級の全員が表せるようにすることを願っている。また、グループの中での発表を通して、つくった俳句のよさや素敵さを認め合うことによって、自分の創作した俳句を振り返り、見直すことができることと願いたい。
6.指導計画(全5時間)
時 | 主な学習内容 | ●指導上の留意点 ◆評価 |
---|---|---|
1 | 俳句の特徴について知る。 ・音について ・季節の言葉、季語について ・五・七・五 俳句を繰り返し音読する。 |
●本単元での学習活動をおさえる。 ・俳句の特徴を知ること。 ・俳句を読み、リズムを感じたり情景をイメージしたりすること。 ・俳句を創作すること。 ●音読をし、感想をもつようにする。 ◆俳句の特徴を知り、身近に感じながら音読することができる。(エ) |
2 | 情景をイメージしながら、俳人の俳句を音読し、読みとる。 | ●季語と季節を読み取ることができるようにする。 ●『五・七・五』の十七音という規則があるため、言葉の省略が多く、イメージが広がりやすい、ということに気付くようにさせる。 ◆情景をイメージしたりリズムを感じ取りながら音読することができる。(オ) |
3 本 時 |
俳句をつくる。 発表した俳句をグループで発表し、俳句の情景をイメージする。 |
●テーマを精選し、俳句をつくりやすくする。 ●声の大きさや話す速さ、言葉づかいなど、聞き手のことを考えて、自分の俳句を適切に発表できるよう指導する。 ◆自分の感じたことを相手に伝わりやすく発表することができる。(イ) |
4 | 簡単な俳句の発表会をする。 | ●リズムよく声に出したり、情景がよくわかるように読み方を工夫したりするよう指導する。 ●友達の俳句を称賛し合えるような雰囲気づくりをする。 ◆自分がつくった俳句と友達がつくった俳句を交流することで、適切に発表することができる。(イ) |
5 | これまでの学習を振り返り、俳句を創作する。 | ●本単元のまとめとしての俳句づくり、という意識づけをさせる。 ◆俳句を創作することにより、俳句を身近なものに感じることができる。(ア) |
7.本時の指導と展開(3/5時間)
【1】めあて
俳句をつくり、自分の感じたことを伝わりやすく発表することができる。
【2】展開
学習活動 | ●指導上の留意点 ◆評価 | |
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1 | 早口言葉を元気に唱え、心と声のウォーミングアップを行う。 T:「元気よく早口言葉を唱えて、心と声のスイッチを入れよう」 |
●発表が効果的になされるように、まずは児童が抵抗なく、かつ意欲的に取り組む早口言葉で導入を行い、勢いをつけたい。 ●早口言葉を元気よく唱えられるように声かけをする。 |
2 | 前時までの学習を振り返り、学習のめあてをつかむ | ●児童の関心を喚起する言葉をかけ、意識を早口言葉から俳句にシフトさせる。 |
俳句をつくってみよう。 | ||
秋にかかわる3つのテーマの中から一つ選んで、俳句をつくる。 T:「俳句の特徴を思い出して、すてきな俳句をつくってみよう。」 |
●テーマを精選し、俳句をつくりやすくするようにする。 ●関心をもつことができるように、テーマを一つずつ、掲示していく。 ●掲示物により、俳句の特徴を振り返らせる。 ●なかなかつくることができない児童には、体験や経験したことを思い出させるなどの支援をしたり、「あなうめ俳句」を提示したりする。 ●「字余り」や「字足らず」も可とする。 |
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3 | グループで俳句を発表しあう。 T:「友達の俳句を聴きながら、様子をイメージしてみよう。」 |
●児童の発表が円滑になるようなワークシートを用意し、俳句を書き込ませる。 ●発表が充実したものになるように、「俳句の特徴」の掲示をする。 ●声の大きさや話す速さ、言葉づかいなど、聞き手のことを考えて、自分の俳句を適切に発表できるよう指導する。 ◆自分の感じたことを相手に伝わりやすく発表することができたか。 |
4 | 学級全体で代表の俳句を発表する。 T:「みんなで、俳句の様子をイメージしよう。」 |
●代表の俳句を読む児童が、声の大きさや話す速さ、言葉づかいなど、適切に発表できるよう指導する。 ●代表の児童が、発表できてよかったと思えるよう、称賛の言葉や拍手などが自然に出るような雰囲気づくりをする。 |
5 | 次時の学習内容を知る。 | ●発表された俳句以外にも関心を持たせるような言葉かけをする。 |
研究協議
- 決められたテーマだったため、話合い活動が行いやすかった。その反面グループでの発表の際に、相手に伝わる工夫が分かりにくかった。
- 学習指導要領の、「相手の意図をつかみながら聞く能力、計画的に話し合う能力」を意識して、「声の大きさ・速さ・リズム」に気をつけて読んだり聞いたりすることを伝えて学習活動に臨んだ。
- テーマの中の「ぎんが」と秋のつながりがわかりづらい。→図工の学年の作品名との関係でこのテーマを選んだ。
指導・講評
- 俳句は当初、言葉あそびの色合いが強かった。
- 「わび・さび・しおり」に味わいを求めるようになった。
- 早口言葉のよいところは、発音・発声・呼吸の三点である。はじめはゆっくりと言うことで言葉が自由自在になる。しかし、ゆっくり言うのは、内容がないと大変である。
- 俳句は「間」の文化である。言葉が切断されていると、より深みが増す。
- 自分の感覚で、見てきたものが生きてくる。
成果と課題
- 「早口言葉」を取り入れたことにより声の大きさや速さの調節をしようとする意識づけができた。
- 互いの作品をグループで発表したことで、相手に伝えようとする意識が芽生えた。
- テーマを設定したことで、比較的容易に俳句をつくることができた。
- 相手に伝える工夫が見えづらいところがあった。
- テーマと季節のつながり、および用いる季語の認知度について、児童の実態をさらに把握したうえでの精選の必要性がある。