災害発生時のこころのケア その7
東日本大震災・教職員メンタルヘルス支援(第6班)
東京都教職員総合健康センター 臨床心理士 中島 惠
第6班は5月18日から21日までの日程で宮城県気仙沼市を訪れました。
私は今回2回目の被災地支援活動となりました。1回目は第1班、4月の第1週でした。
膨大な瓦礫が一掴み一掴み、 少しずつでも確実に撤去されていました
津波によって破壊されつくしたエリアのほんのすぐさきは無事で、普通の世界が広がっている、ほんのわずかな差で運命を異にする風景は壮絶で異様です。そのギャップを埋めるかのように工事車両が瓦礫の撤去を行い、復興がすすめられており、第1班で目にしたときよりもがれきは半分の高さになっていました。被災地のすぐ横にある田圃では、田植えをする人の姿があり、人々が多くのギャップを抱える中で普通の生活をとりもどそうとする努力が伝わってきます。
全国からの支援で届けられた文房具の数々、これから新しい頁が開かれます
気仙沼市では、学校は4月21日より再開されています。今回訪問したある中学校では、「ファイトー!」と部活動に励む生徒の活気ある声が響き、学校生活を取り戻しつつあることにほっとする思いでした。一方、避難所としての役割を続けている学校や校庭に仮設住宅が建設されているところもあり、教育現場と地域の共存は少しずつ形を変えながらも日常の中で続いています。
学校が再開してから約1ヶ月がたち、先生方は様々なご自身の被災の体験を胸にしまいながらなお教師としての公務に励んでおられます。「みんなが大変な状況なのだから。」「自分はましなのだから」とどのような被災状況の方も一様におっしゃいます。自分の胸のうちを語れなかった、と涙ながらにご自身の体験をお話される方もいて、喪失や傷ついた体験を封印されて前に進もうと頑張っている姿に頭がさがります。街の復興も心の回復もまだまだこれからも道のりは長く続いていくでしょう。「前へ」という先生方の意識はきっと気仙沼の教育現場を復興へと導いていくでしょう。けれど、先生方も被災されたお一人の人。どうか、子どもたちのためにもご自身の健康状態を大切にしてほしい、そんな思いを強くいだきました。