食道、胃などは、口から摂取した食べ物などが、体に必要な栄養素などを消化吸収する過程の通過点として、非常に大切な臓器の一つです。一般的に上部消化管とは、食道、胃および十二指腸の部分です。
主な胃の機能としては、1:食物の貯留、2:食物と胃消化液の混和、3:胃内容物の排出があります。
食道や胃、腸などの消化管には、下記のようなさまざまな不快な症状が起こることがあります。 思い当たる症状はありませんか?
食道の病気
- 食物がつかえる。嚥下しづらい。食事や唾液を飲み込む際にむせることがある。
- 胸焼けする。
- 嘔吐、吐血症状がある。
胃、十二指腸の病気
- 胃がもたれる。みぞおちが痛い。黒色便がある。
- 食欲が低下した。体重が減少してきた。
このような症状に思い当たる方は、できるだけ早急に受診し、内視鏡検査などを受けましょう。
食道がん
多くはお酒、タバコと関連が深く、やや男性に多い病気です。体を縦に走行する臓器のため、ごく早い時期に見つかれば内視鏡治療で治せますが、進行すると、頸部、胸部、腹部の広い範囲に転移をする可能性があり、広範囲に手術操作を行う必要があります。食道癌手術は、術後の侵襲が大きく、心臓、呼吸器、などの消化管以外の臓器も関係するものです。
治療法には、手術、化学療法、放射線療法などがあり、病態、全身状態などを考慮して、最適な治療法を組み合わせていくことが大切です。
胃がん
検診により早期発見、ピロリ菌感染者の除菌などの予防の浸透により、以前よりも、がん患者数が減少してきました。病変部位や深達度などにより、術式や再建方法などは、各施設間の違いはあります。早期癌に対しては、できるだけ体への侵襲の少ない腹腔鏡手術を取り入れる施設が多くなりました。
胃癌の組織型や病変の深達度によっては、内視鏡治療も行うことが可能です。 外科的胃切除術後の食事法には、工夫が必要です。体重変化は必須です、しかし、退院後も、患者様、主治医、栄養科などが連携を取って、日常生活に支障ないように、食事内容、食事法などをサポートしていきます。
ピロリ菌感染性胃炎(Helicobactor Pylori)
最近、ヘリコバクターピロリ菌感染について世間でも耳にすることが多くなりました。日本人の感染頻度は約60%といわれています。ピロリ菌感染は、胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)、潰瘍形成、胃癌などの関連があることが分かってきました。
現在は、感染が判明した場合、保険でピロリ菌の除菌をすることができます。一度の治療で、除菌できる方は、約70%。除菌できなかった方は、2回目の除菌も保険で治療できます。