公益社団法人東京都教職員互助会 三楽病院

部門

障害者雇用Handicapped

三楽病院サンライトサポート室(知的障害者の雇用)

2017年4月、公益社団法人東京都教職員互助会が、知的障害者の雇用に力を入れ始めたのは10年前からになります。2018年4月からは、三楽病院総務部総務課の中に集合型の就労の場「サンライトサポート室」を開設し、都立特別支援学校の卒業生5名を採用して(法定雇用率を満たして)、本格的な雇用が始まりました。
サンライトサポートという名称は、「三楽病院が、知的障害者の就労を明るく支援する」という想いが込められています。以来、スタッフ一人一人の能力、特性を最大限に発揮してもらえる環境整備に努めてきました。

医療機関としての社会的責任(CSR)

三楽病院は、障害者の雇用支援を継続し、医療機関としては稀有な社会的責任(CSR)を果たしてきました。そして、知的障害がある5人のスタッフは働くことへのやりがいを高め、誠心誠意と「一つ一つの仕事を丁寧に」(One by one, politely)をモットーとして日々充実した社会生活を送っています。
お陰様で、5名のスタッフは、就労を継続することによって、社会生活に必要なコミュニケーション能力や作業能力が着実に伸長し、社会人としてのスキルも広がってきています。

スタッフは「世界にたった一つ花」
(人権の尊重とコンプライアンスの遵守)

知的障害は、「読み書き計算が不得手であるが、基本的なコミュニケーションや社会生活には支障がない程度に自立している状態」と一括りにいわれていますが、一人一人のスタッフの個性や特性等は多様で、世界にたった一つ花たちです。

現在、勤務している5名のスタッフは、全員がそれぞれ優しい性格であり、職場で言い争ったりすることは全くありません。自分から進んで会話を交わしたり、相手の言葉や意図を想像することが難しかったりすることがありますが、社会生活に必要なコミュニケーション能力や作業能力を着実に伸長し、日々の業務に誠実に励んでいます。

2025年4月からは、二人の支援者(元特別支援学校校長)がスタッフの支援に当たっています。スタッフの人権を尊重し、企業倫理や社会規範などに従い、公正・公平に業務が行えるようにしていきます。

サンライトサポート室スタッフ、支援者一同
サンライトサポート室スタッフ、支援者一同
(スタッフが画像AIで写真をアニメ風にしました。)

今回のスタッフ紹介

Aさん 入社8年目

都立特別支援学校中に現場実習を体験して入社しました。性格は明るく誰とも適切な関係を築くことができ、部屋のムードメーカー的存在です。
歩行の配慮が必要ですが、新しい業務には積極的に取り組みます。仕事への責任感は強く、担当する業務は最後まで行えます。今では業務全体の進行状況をみて、足りない業務への支援を積極的に行えるリーダー的な役割を担っています。
休日は推しのコンサートに行くのを楽しみに、休暇を計画的に使っています。

Bさん 入社4年目

都立特別支援学校を卒業後2社で3年半の経験を生かして入社しました。自己の健康に注意しながら真面目に仕事に取り組み、覚えた仕事は確実に行い、約100種を超える業務が行えます。
性格は穏やかで、社内の人とも少しずつ関係を広げてきています。スタッフミーティングでは業務の改善案について司会をしながら意見をまとめるなど、他のスタッフからも頼られています。
一人暮らしで自炊ができるように、調理を覚えるとともに、年に一回の国内一人旅行を楽しみに働いています。

サンライトサポート室の業務の紹介

これまでサンライトサポート室が担ってきた、病院のバックヤードの業務は多岐にわたっていますが、開設当初から任されてきたのは、血液等の検体を本院の検査室まで、午前中4回、定時に運搬する業務です。見た目は単純な業務に見えますが、破損等のアクシデントは決して許されない業務ですので、最も慎重な取扱いと周囲への注意が必要とされます。また、午前中のルーチンの業務として、大量の郵便物(台車1箱分、1日100~200通)の差出業務があります。郵便物の計量と仕分け、後納郵便差出表の作成(PC入力)、郵便局への搬入を雨の日風の日も毎日行っています。
さらに、宿直医師等の職員のベッドメイキング(5~7床)とシーツ、スクラブ、バスタオルの補充も午前中の重要なルーチンワークになっています。

  • ポーター(検体運び)
  • 郵便局への郵便物の差出
  • ベッドメイキング

午後の業務は、患者様呼び出し機や検体容器の消毒、ディスポシート・テープカット、人間ドック案内パンフレット丁合と封入等の業務が日常的に任されるようになっています。
2022年から始まったコロナ禍では、内視鏡用簡易マスクの作製、フェースシールドの組み立て、問診票の印刷(1日800枚)、ワクチン接種記録システム(VRS)でのロット番号スキャン(総数87,000件)等を担わせてもらいました。
現在、PCによる職員の名刺作製は、注文票どおりに細かく調整できるようになり、最近では、シリンジ等のパッキングとシーラによる袋綴じや検査着当のパッキングの業務を任されています。

  • カレンダーの作製
    カレンダーの作製
  • 検査着のパッキング
    検査着のパッキング
  • シリンジ等の器材のパッキング
    シリンジ等の器材のパッキング

このように、サンライトサポート室は、法律や社会規範を尊守し、障害者の雇用を9年にわたって継続してきました。これからも障害者の人権に配慮した合理的配慮を実施し、共生社会の実現に向けて少しでも寄与することを目指していきます。
今後とも皆様の温かいご理解・ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。